杮葺落六月大歌舞伎 十二世市川團十郎に捧ぐ助六
冒頭に口上。初日の河東節連中にはぼたんさんの名前もありました。この中のどこかにいるのねと赤い格子の奥をじっとみる。茶屋廻りから、御曹司登場。とにかく豪華でした。ザ豪華絢爛。
傾城さん達が、壱太郎くんを筆頭に新悟くん、天才右近ちゃん、米吉くんに児太郎くん。この世代になるのですね。歌舞伎座を直している間に、みなさん立派になられました。右近ちゃんの足さばきが凝っていました。続いて、 たっぷりと花魁道中。福助さんの揚巻は、すっかりめれんになっているようでした。グラグラしていました。台詞どおり、写実だなぁ。揚巻のあとには、意休さんと一緒に白玉さんの道中。こっちもぞろぞろと。このお芝居は、本当に百人くらいの人が出てそうです。意休さんに喧嘩をふっかけ、怒る揚巻。なだめる白玉。そうそう、助六さんがでてきるまでに、花魁連中の場がたっぷりとあるのでしたと思いだす。七くんの白玉は大層立派で、揚巻の妹分というより同等な感じさえしました。
尺八の音が聞こえて、とうとう助六登場。出端をたっぷりたのしむ。3部は、1階におりてきたので舞台は近いし、花道はたっぷり堪能できるし幸せでした。あー、團さまはここでたっぷり出端をみせてくれるはずだったのになぁ。出たかったでしょうし、みたかった。御子息は、立派な助六ですよと、成田屋贔屓心いっぱいになりました。2部の五郎より、ずっとしっくりきていました。声も。この人は本当に助六役者だなぁ。言葉なくても、たっぷりと花道で助六っぷりをみせてもらいました。この鉢巻が御不審か~と台詞があり、かっかっかっと下駄の音をひびかせ本舞台へ。もっと花道にいてほしくなるような、いい出でした。
このあとも次々と豪華な顔ぶれ。意休さんが左團次さんなので、対決に箔がつきます。子分のくわんぺら門兵衛の吉右衛さんは、すごくわかりやすかった。遣手お辰の右之助さんがほっそりみえる大きさでした。又五郎さんの朝顔仙平は、コミカルさがすばらしい。変テコに感じない巧みさがありました。福山かつぎの菊之助さんのすばらしいこと。粋のいい江戸っ子まで、達者とは。もういやんなっちゃうほど、なんでもできちゃう男ですね。うまいし、キレがいいし、声もいい。さわやかに義父に啖呵をきって去っていきました。いかしてる。
白酒売新兵衛は、菊五郎さん。あー團さまと2人で出るはずだったのになぁとまた偲ぶ。菊五郎さんは、うまいなぁ。 白酒売の弱さもなさけなくならないし、立派な人物にみえます。おっとりしていて上品で。いい味だなぁ。こういううまい方と一緒に出るというすばらしさを、しみじみ感じました。通人は、三津五郎さん。うまかった。花道では、ホロリとさせられ涙がポロリとでちゃいました。そのとおり、きっと見守ってます。あったかい通人でした。 團さまを思い、さよなら歌舞伎座の時、勘三郎さんが通人で「またねっ」っていってたのになぁと勘三郎さんを思う。なかなか受け入れられません。
2部でも友切丸を探していたなぁ。6月は2部でも3部でも海老蔵さんは、曽我五郎でした。
終演後、成田屋贔屓と一杯のんで帰宅。歌舞伎愛好家との会話って、いいなぁ。
私が、こんなに歌舞伎にはまってしまったのは2000年1月にみた、昼の部の対面と、夜の部の助六。それまでも母に連れて行ってもらったり、3階でたまーにみたりしていましたが、この対面と助六で、「なんじゃこりゃ!」と毎月、みずにはいられなくなりました。のめりこみ年月がちょうど計算しやすい時でした。あのときの対面の五郎十郎は、当時の辰之助さんと菊之助さん。新之助さんは朝比奈でした。あのポストマンは何?最後に3人でおめでたい富士の形をつくるってどういうこと?と話がちっともわからなかったのに大層面白く、筋書で調べては笑い、喜んでいました。夜の助六は新之助。「なにこれかっこいい!」と幕見で何度もみました。そして道楽ものになってしまいました。あの時のように、対面と助六があ並んでいるなぁ。当時の三之助もみんな妻帯者になり、立派になられました。あれ、私は変わっていないなぁ。いえいえ、歌舞伎の醍醐味が大分味わえるようになりました。先はまだまだ長そうです。
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