暁斎が描く狂言の会
国立能楽堂にて、暁斎が描く狂言の会を観て参りました。すばらしかった。
最初に、万作師。「裃による三番叟」。どうして、裃なのかしらと思いましたら配られた冊子に、「重装備の装束をつけずに踏む。三番叟の骨格を見ることができる」と書かれていて、なるほどと思う。袴だと、足の動きがよりわかる。あげかた、うごかしかたの差。先日、三井美術館でみた河鍋暁斎展の活き活きとした姿を思いだす。あの躍動感。目の前の動作を描くこの以前に、自分が身体をもってその動きを知った(狂言 大蔵流に入門し、実際に演じた)暁斎だからこそのすばらしい画を思い出した。三番叟の優れた点の一つは、その儀式性である。が、今回の企画ではその内面を、より深く感じることができた。手を合わせる動作、足をあげること、一つ一つにはっとするような意義を感じ、黙って見ていても心の中では、ほー はぁー の繰返しだった。美しく無駄なく意味のある動きの連続で、あっという間だった。観るというより感じる三番叟でした。
三井記念美術館館長の丁寧な紹介の後、西野春雄先生が登場し、説明。その後、伯母ヶ酒。「酔狂人・画鬼暁斎と伯母ヶ酒」という演出。最初に暁斎が登場。そこから、すーっと伯母ヶ酒にはいっていく石田師の演出は、おおらかで気持ちがよかった。特別の肩衣もすてきでした。
最後に萬斎師が山伏の「茸」。通常の能楽堂で鑑賞する時よりも、笑いが沢山起こった。茸は面白いものなのだなぁと再確認しました。ばしっと茸の笠を打つ度に、楽しそうでした。素直に、こんな茸が庭にニョキニョキとはえてきたらと思うことのできるいい雰囲気でした。三井記念美術館企画の公演。こういう新しい視点でみることも、新鮮でいいものだなぁ。堪能しました。
公演前に、三井記念美術館による暁斎が描く狂言の会のため、国立能楽堂に行った折、能楽堂企画展示『世も盡せじ』もみてきました。暁斎、すばらしい。
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