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2013年7月19日 (金)

『下町ロケット』

池井戸潤『下町ロケット』(小学館)を読む。(読んだのは5月だけど。)この本好き!
冒頭で、佃航平が宇宙工学研究の道を進み、巨額な費用のかかる打ち上げ実験が失敗する。
次の章では、大田区で、実家の中小企業「佃製作所」を継いでいる。大田区といえば、中小企業だけどその技は世界にひけをとらない技術集団というイメージ。その時点で、佃製作所贔屓に本を読み進めてしまう。突然の大手企業が、取引停止するという。さらに競合の大手企業が、特許侵害で訴えてくる。大企業は、上の方針であっちへこっちへと意見をひるがえす。その上、景気がどうだの、うちも大変だなどと上から目線で勝手なことを言う。会社は倒産の危機に瀕する。まったく、大手のすることといったら。憤慨したり応援したりとぐんぐん読む。
日本のものづくりを担ってきた技術を持つ職人の働く町工場。負けない技術があれば、町工場に怖いものはないのだ。そうあって欲しい。社内の派閥だのなんだのくだらないものかかわりのない、職人集団は そんな権力を跳ね飛ばしてほしい。そういうものであって欲しい、この世の中は。
けれども、危機はそんな佃製作所の社内にも潜んでいる。何度ももうダメだと思い、長いものに巻かれるしかないのかとあきらそうになり(読んでいるだけですが)、それでも難局に立ち向かうことで、そのギリギリのところで心に跳ね返り、独りまた一人と、真剣に仕事とは・会社とは・ひいては生きることを考えていく。盛り上がってくると、すごいパワーが出る。そこに乗りそびれた人の醒めた感じもちょっとわかる。卑怯な手をつかう大企業(←悪の権化のような気すらしてきます)だからこそ、みせなければならない意地を、プライドをとりもどす。少しづつ仲間が、理解者が増えていく様子にも感動しました。いい本でした。
第145回直木賞受賞作品だそうです。

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