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2013年11月13日 (水)

『黒い仏』

殊能さんの作品を大切に再読。殊能将之『黒い仏』(講談社文庫)。
冒頭で、9世紀に天台僧が唐から持ち帰ろうとした秘宝について深くもの思いにふけった後、名探偵 石動戯作がいつもの調子で登場。助手の徐彬(アントニオ)が役に立たない感じでそばにいる。面倒くさそうなのに、拾われた恩義を誰よりも大切に思い忠節を尽くす。その律儀さを石動戯作に全く気がつかせずに。主役じゃないかと思うほど男気溢れるヤツです。
観光客の大勢訪れるような立派な寺ではない。田舎の寺、秘仏、僧侶。顔の削り取られた奇妙な本尊が。指紋ひとつ残されていない部屋で発見された身元不明の死体と黒い数珠。どんどん事件は複雑怪奇に。そして、謎なんかとけっこないという事態になっていく。それでもバラバラにならない展開がすごい。前代未聞だけど、かまわない。それは、一応 名探偵 ということになっている名探偵 石動戯作に割り当てられた力だ。一応名探偵か。いいなぁ。おおきな変化球と、ちょっとしたユーモアが非常にうまい人です。

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