« 『黒い仏』 | トップページ | 京寿紅葉狩 »

2013年11月14日 (木)

『鏡の中は日曜日』『樒/榁』

殊能さんの作品を大切に再読中。続いては殊能将之『鏡の中は日曜日』(講談社文庫)。これは、まるっきり忘れていて新鮮に楽しむ。
梵貝荘(ぼんばいそう)と呼ばれる法螺貝の形の館にはマラルメを研究する瑞門龍司郎が住む。この館で主人が主催する「火曜会」の夜に、殺人事件が発生する。この設定からしてワクワクする。子供のころ読む乱歩の世界の時に感じたような怪しさがいい。法螺貝の形の館で中庭には2階を通らなくてはいかれなくてと、いかにも何かがおこりそうな設定。「ぼく」による一人称の語りで綴られる。どうも頭に障害があるようで、関係性がはっきりしてこないところが謎をよぶ。第2章では、過去にさかのぼり、第3章では石動に焦点があてられた語りになっている。詩の脚韻という形式性を重んじたマラルメの象徴詩という雰囲気のある世界感。ミステリーについての造形が深ければ、ここからもっと沢山のちりばめられたものを読み取れるのであろうなと思う。さーっとよんでしまうのが惜しくなる本です。
同時収録の続編「樒(しきみ)/榁(むろ)」。こちらは、天狗の斧という2時間ドラマのような凶器。自称名探偵の石動戯作と、名探偵・水城優臣。謎についてより探偵の個性に魅かれて読むので、こういう感じも面白かった。探偵と助手の関係性を読ませる続編でした。うーむ。やっぱりいいなぁ、殊能さん。さみしい。

|

« 『黒い仏』 | トップページ | 京寿紅葉狩 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/81962/53927555

この記事へのトラックバック一覧です: 『鏡の中は日曜日』『樒/榁』:

« 『黒い仏』 | トップページ | 京寿紅葉狩 »