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2013年12月31日 (火)

よいお年を

昨日は、年末なのに何時間も総集編をしているあまちゃんをついついみる。こういうまとめ方をしちゃダメだよなぁと思いながらもついついみる。あまちゃんに夢中の一年でした。秋には、東北旅行をして、岩手へ。三陸鉄道をみてきました。本数の少ないっている鉄道ダイヤを体感。不便なことを含めてすべていとおしかった。紅白であまちゃん小芝居をみて、またまた懐かしくなりました。ありがとうあまちゃん。あまちゃんフォーエバー


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2013年12月30日 (月)

『バイバイブラックバード』

伊坂 幸太郎『バイバイブラックバード』(双葉文庫)を読む。
非常に面白い。とても好き。
主人公の星野くんは、借金地獄で〈あのバス〉で連れていかれることと追いつめられた。帰りのない片道バス。想像できないほど悲惨なことになるらしい。最後の願いをかなえさせてもらうことになり、恋人に別れを告げることを選ぶ。が、恋人でなく恋人たちであった。5人の恋人に、順に別れを告げていく。恐ろしい所につれていこうというわりには、最後に願いをかなえてくれるとは。ただし、見張りがつく。繭美。粗暴な大女。彼女の持つ辞書は、本当に「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」などの単語を黒く塗り潰してある。あたしの辞書にそんな単語はないいんだと事あるごとにみせられる。真っ黒ないでたちで、口をひらけば毒を吐き散らす。イヤなタイミングでイヤなことをいいとどめを差す。恋人たちに別れをつげさせてはくれるが、常に見張りがつき繭美と結婚することになったと告げさせられる。五股かけている星野くんなのだが、どの恋人も星野くんと付き合って幸せだと思う。星野くんはそれぞれに誠実で、いい人で、うわべだけでない人を大切に思うことができる。そしてそのように行動することができる。極悪粗暴な繭美までもが、その親切行為につきあわされていく。繭美の潔いまでに非道なもの言いや態度は、いい格好をしたがってしまう自分にはちょっとうらやましい程だ。我慢してうっぷんをためるなら、やりたい放題やって堂々と嫌われる強さを持とうとか思ってしまうほど。毒女と星野くんの組み合わせの妙が面白い。恋人との別れを重ねるごとに、性格最悪な繭美が魅力的にみえてくる。星野マジックだ。本当にみごとなキャラクターをつくるなぁとうならされてしまった。
星野くんの愛は、一人でなくいろんなところにむく。星野くんの辞書に気が多いという言葉はない。真剣だ。借金で首がまわらなくなり地獄のようなところで強制的に働かされる前なのに、なぜそんな話にこんなに温もりがでるのでしょう。最終章もとてもよかった。この、バイバイの物語はすごい。

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2013年12月29日 (日)

『天国旅行』

三浦 しをん『天国旅行』(新潮文庫)を読む。死をテーマとした短編集らしい。自殺や心中が主なのだけれど、テーマではない。もう死しかないと追いつめられ、思い詰めた時にふと耳に、心に、届くものがあるかどうか。その狭間にいるからこそ届くもの。人の心なんて簡単にわかるものじゃないという怖いくらいの冷たさや深さがある。
誰かの死により他の者が、その死に囚われてしまう。死はこわい。ひとりになる。死んでどうなると思っている私でも、心の傷のしんどさはわかる。でも、ほとんどのことは、死んでもどうにもならないとも思っている。死を美化するのは好きじゃない。ただ死は誰にもおとづれてしまうものである。そのことに向き合った話でした。
自殺をしようと富士の樹海にはいり、そこで出会った男に素直にとりみだしていく男の話が、好きでした。

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2013年12月28日 (土)

『きみはポラリス』

しをんちゃんの『天国旅行』の平積みのところに、『きみはポラリス』の続編と書いてあったので再読。三浦 しをん 『きみはポラリス』 (新潮文庫)。 「どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。」と書かれていました。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛。形であげるよりも、意味のよくわかる短編集。秘密をはらんだ2人の関係を感じる会話がいい。
2002年~2007年に描かれた短編集。巻末に初出の一覧があり、掲載先がわかると何にむけていたのかなと考えてみた。自分で勝手に設定したテーマを「自分お題」と呼び、そこを読むともう一回よみたくなって読んだりした。巻末のいいお楽みでした。

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2013年12月24日 (火)

『カブキブ! 1 』

以前読んだ本の覚書
うまくいかなくて、どうにもこうにもならないときに勧めてもらった本です。榎田ユウリ『カブキブ! 1 』(角川文庫)。歌舞伎大好きな高校生、来栖黒悟。一年生なのに子供っぽい小柄なクロの夢は、部活で歌舞伎をすること。ここまで聞いただけで、あーもう無理と思う。「ぴんとこな」を思わせる無理さ。それゆえに、読みたくなる。さぁ、どうします?と。突拍子がない設定程、面白い。どうするのかと思っていたら、その子の学校にプロ意識の高い名門御曹司が通学していました。なるほど。歌舞伎役者の落とし子と噂だけど、ロックをやっていたり、日舞の師匠の息子がいたり。演劇部には大人気の男装の麗人(女子)も所属しています。もう、出てくる出てくる。豊富な人材を取り揃えた学校なのです。その出来過ぎが面白いスパイスになるよう、素直に青春模様が描かれているので、気持ちよく盛り上がって読むことができます。バカみたいに歌舞伎が好きで、せりふもたっぷり引用されており、説明もうまい。興味のない人に、ふぅーんと聞かせる素直な熱っぽさ。ちゃんと親友がいるっていうのもいい。仲間を大切に、みんなで歌舞伎部をつくろうぜ!こういう風に夢中な高校生活を送ることができたらよいだろうねぇ。 生徒の真剣さに徐々に応えようとしていく顧問の先生や、屈折した隠し子、華のある演劇部のスター、素人を蔑視している御曹司、無理に男らしく生きようとするガタイのいい日舞の師匠の息子とありそうなんだけど、素直に楽しいカブキ部物語でした。ゆくゆくは、「現代的」な歌舞伎を作りたいって言っているところが危険でまた面白くなりそう。
1ってことは、次もあるじゃん。うれしい。
歌舞伎のかっこよさが伝わる本かもしれない。

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2013年12月19日 (木)

『永遠の0』

風たちぬの映画をみてから、百田尚樹の『永遠の0』(講談社文庫)を読む。 ジブリの映画「風たちぬ」で堀越二郎という人間がいて、零戦が誕生する彼の半生についてしりました。静かでいい映画でした。この本はそのゼロ戦に乗った男の話。
戦争中に「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、臆病者と貶される。そう本気で思うのが国民の意識であった時代。自分の祖父がゼロ戦に乗っていたことを知り、祖父の記憶を知る人をたどる。自分の身内が臆病者と言われたり嫌われたりする。そんな人物像に戸惑いながらも、目をそらさず祖父という人を、戦争を、ゼロ戦をみつめていく。8月になると戦争の記事が書かれる。特攻隊がテロという言葉で表現されることにも驚いた。特攻隊は決して一般市民を狙ったものではない。テロと一緒にすべきでないときちんと表現されている。が、そのようにみるものもいるという視点も忘れない。過去の惨事は、知る事が何よりも大切だ。もうおこさないためには。
そういう時代だからと片づけることのできない現実に涙がとまらなかった。

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2013年12月13日 (金)

通し狂言 仮名手本忠臣蔵 夜

今月は、3階だけでなく奮発しても鑑賞しちゃいます。お誕生日月だもん。
1階の1番前の席にて鑑賞してきました。あー楽しかった。
夜の部は、五段目の山崎街道鉄砲渡しの場から。浅葱幕がぱーっとおりると勘平の染五郎さんが。顔が小さくてちょっと印章が薄くなるなぁと思ってしまいました。鉄砲そちらにお渡し申す 自身に火を付けお返し下され の一連の作業をよーくみる。提灯の仕組みはよくできています。火を貸す手順もなるほどと。火縄銃の火縄の火が、蓑につくのではとちょっと気をもむ。獅童さんをみて、あれ定九郎って難しかったのかと気づく。もうちょっとがんばれ。 二つ玉の場から勘平さんの頭の小ささが気にならなくなってきました。ちゃんと存在感がありました。旅の人を撃ったことに動揺し取り乱す様や、はっこれを忠義に と思いついてしまう様などがよかった。
六段目。手堅かった。母おかやの吉弥さん、 一文字屋の萬次郎さん、源六の亀蔵さん。これで、しっかりと風情が出る。おかる勘平は若いのに、ベテランの安定感。勘平の天国・地獄・天国と揺れ動く感情の描写が、はっきりしていてそこがよかった。金の工面が整ったと御紋服をいとしそうになでる。一文字屋お才の財布と自分の懐の財布を比べ絶望する。もう命が果てるというのに疑いが晴れたことを芯底喜び、なお仇打ちの連判に加わりたいと願う。若者の思いこみのようなものも出ていて、よく似合っていました。おかるの七之助さんが手堅く古風だったのも、バランスがよかった。おかるは、本当に勘平が好きなのだなぁと、これほど感じたのは初めてです。勘平さんが喜べば私もうれしい。勘平さんのことばかっり考えている娘さんでした。自分が売られてもお金を工面したいということがすんなりくる おかるちゃんでした。
舅の与市兵衛を殺してはいけないが、ならずものの定九郎は撃ってもいいのかとちょっと思ったりもするが、親や子やつれあいに別れ殿の仇をという 時代がよくでていてまあいいかと思う。
続いて七段目。祇園一力茶屋の場。このために奮発。(1階でみると6段目もとてもよかった。)
おかる・玉三郎と、奴平右衛門・海老蔵がみたくて奮発。初日より、ずっとずっとよかったように思う。1階マジックだけでないと思う(初日は3階だから)。玉三郎さんは初日からうっとりする出来でしたが、相手あってのものですので。玉三郎さんの人をひっぱる力はすばらしい。幸四郎さんまでも しっかり声がでているように思いました。由良さんあてに届いた文を、2階からおかるが鏡に映して読もうとする。そんなことできこないという気持ちがひっこんじゃう美しい形。場面が止まっているような美しさ。場内がほぉーっとなった。そしておかる平右衛門の場へ。勘平の悲劇をみんな知っているからこそ、おかる平右衛門の一時の明るさが引き立つ。おかるは、六段目とはすっかり違って(役者も違うけど)、遊女おかるの余裕があるひとあしらいをする。おまえは兄じゃひとのところも可愛らしい。貫禄があるのだけどちゃんと可愛い。あのじゃらじゃらしたくだりに魅せられました。いつまでもみていたかった。海老蔵さんの平右衛門は、考えすぎの動きがなく素直に必死に玉三郎さんのおかるにぶつかっていっていた。よかったなぁ。木戸を挟んでおしつおされつのやり取りは、ひとつもくどくなく おおらかでよかった。 その後の真実をあかすくだり。父は気の毒だけどお歳をめされているが、勘平さんは二十を越えたばかりとむせび泣く。一緒に切なくなる。勘平さんがいないなら生きていても仕方がないと命を差し出す。刃に手をかける平右衛門に、母親のために自害するからそれから首でもなんでも切ってくれという。兄が妹を手にかけたら、母として許せないだろうと気遣う。さっきまで遊女の余裕な雰囲気を出していたのに、先ほど六段目でみせたおかるが顔を出す。兄は奴の武骨な正直さで、妹に心で手を合わせ刃を振り上げる。この2人の作りだす空気がよかったなぁ。 「あにさん、こうかえ」と前むき、後ろむきの立ち姿の舞台写真でてるかなぁ。欲しい。あの立ち姿の魅せることったら。 姿も心情もすばらしかった。
心底知れたと兄弟を止める由良之助。遅いよ由良さん。いっつも遅い。今回はギリギリ間に合ったけど。さっき九太夫にされた恨みをネチネチ言う。最後に、加茂川で ほれ  水雑炊を喰らわせい。ひえー残酷。でもここいつも心の中で一緒に水雑炊を・・・と言ってしまう。六段目の勘平さんが連判に加えられた時も臓物を取り出し血判っていうところにひえーと思うけど注目しちゃう。 
すばらしい七段目でした。
十一段目。一番前でみているとちっとも疲れません。討入りの場での激闘を隅々までみる。エイエイオー。 あぁすばらしかった。十二月はやっぱり忠臣蔵です。あぁ日本人でよかった。

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2013年12月10日 (火)

シネマ歌舞伎 春興鏡獅子

シネマ歌舞伎をみてきました。今回は、東銀座の東劇だけでなく横浜でも上演がありました。勘三郎さんが獅子頭を回す写真が印刷された前売りを買って楽しみにしていました。
映画が始まる前に、追悼ということで勘三郎さんの思い出の場面の上演がありました。あれから1年経つのですね。いまだに信じられません。歌舞伎座の思い出の名優達のところに、勘三郎さんや團十郎さんの写真が飾られているのがイヤで、最近はあまり近づかなくなりました。また舞台でキラキラしている姿がみたいのに。勘三郎さんと三津五郎さんの場面をみていたら、とても悲しくなって泣けてきてしまいました。
歌舞伎座の舞台で春興鏡獅子と始まると、おセンチにならずに シネマ歌舞伎を鑑賞することができました。よく見えます。弥生が無理やり呼び出されて、もう観念してお辞儀をするところ。なんとなく観客にしているような気がしてしまいますが、おれは殿に頭を下げているということがよく伝わる。弥生の舞を細かくたっぷりと鑑賞しました。あたりまえだけど、この動作の次にこの動作と順を追っているのでなく、身体に染み付く程踊りこんだものなのだなと。それを丁寧に丁寧に繰り返す。かわいらしさのある弥生にうっとりしました。
胡蝶は千之助くんと玉太郎くん。その気とキレのよさですいすい舞う千之助くん。一方の玉太郎くんは子供っぽさがあいらしい。今は、もっと達者に踊っているけどこの時はちっびこ度が高くかわいかった。ちっちゃいながらも堂々と舞う立派は千之助くん。相手があうことを意識して一生懸命相手をみる玉太郎くん。年の差が踊りにでてしまってはいるがかわいらしかった。
獅子になって勘三郎さん登場。美しかった。私はこの人の毛振りが一番美しく、一番速いと思う。気高い獅子でした。
シネマ歌舞伎って、あればみるけどそんなに意味はわからなかった。舞台で見た方がいいなと思っていました。でも今回、寂しいですがこの世にいなくなってしまった方の芸を、こういう形でみることができるという意味を感じました。
臨場感があり、舞台に登場したり幕が下りる時に拍手したくなりました。

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2013年12月 7日 (土)

国立能楽堂開場30周年記念 特別企画公演

自分の生誕祭を満喫の一日。
お稽古の相方と、国立能楽堂の図書室で公演記録の鑑賞勉強会。私は30分だけで退出してしまいましたが、ただ舞台をみるだけでなく停止してもう一度みたりも自由自在。前回利用した時はビデオだったと思うのですが、DVDになっていました。また見にいかねば。
地下の図書室を出て、能楽堂へ。国立能楽堂開場30周年記念 特別企画公演を鑑賞して参りました。はりきって着物で出かけました。気分がしゃんとします。東次郎さんの釣狐に、万作師の太鼓負という豪華な演目を拝見。本物の力に圧倒されました。すごいです。集中してぐっと舞台にひきつけられました。
今まで、和泉流の万作家の釣狐しか観たことがありませんでした。東次郎さんの狐は、それが大蔵の流儀なのかしれませんが、狐の人に対するおびえと、自らを奮い立たせようとする様に魅かれました。隠しきれない野生の鋭さが、垣間見える。伯蔵主に化けた狐は、人にあうのが怖くて怖くてたまらない。それでも、必死で化けて猟師の前に出る。その心中が迫ってきて涙が出た。 ひとつひとつの動作や やりとりに緊張した。 数えるくらいしか観る機会がない曲ですが、この演目のすごさだけは少しわかってきたように思う。本当にすばらしかった。
素囃子 神舞 の後、太鼓負。祇園会の祭礼のにぎやかな様子。舞台いっぱいの演者が登場し、とても華やか。警護の役を割り当てられた夫(万作師)に、もっといい役をもらってこいといささか強烈に夫を叱咤する妻(萬斎師)。変わりに得た太鼓負の役は、太鼓をかつぐ。担いだ太鼓をたたかれ、あたふたする。ちょっと切ない。それでもたくましく、神子の舞いを楽しんだり、はやしたて共に踊ろうとする。その素朴さが力強く、古風な祭の雰囲気と相まって、とてもよかった。 さすが特別な企画公演と銘うつだけのことがある濃厚ですばらしい舞台でした。
せっかく着物でお出かけしたのに、さっと帰宅。着替えて、いつもの通りプールへGO。プール仲間とスクールにでて、しっかり泳いできました。 もりだくさん。好きなことばっかりのいい一日でした。

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2013年12月 6日 (金)

第64回野村狂言座

宝生能楽堂へ。 第64回野村狂言座をみてきました。
遅れてしまい解説はまにあいませんでした。最初の「苞山伏」がはじまっていたので後ろでみました。人の苞(つと)の中のお昼ごはんを食べてしまって、それを山伏のせいにしようとした男が、法力で仕返しにあうというのどかな話。たわいもないといってしまえるような展開こそ、狂言の持ち味がよく出るもだなぁと、改めて感心する。きょうはちゅうじきを忘れてしまったのでちょうどいいというくだり、「ちゅうじき」中食?あー昼食かと頭の中で展開させる。配布される語句解説は、役に立ちます。こっそり、寝ていた人のお昼を食べておいて、山伏のそばにおはしを投げて寝たふりをする。私は食べていませんよ。おはしがあるからあの人じゃないですかと山伏に罪をなすりつけようとする。子供か。 山伏は又三郎さん。野村又三郎一門の方々の おおらかな苞山伏は、なんだかとても気に入りました。
おおらかな騙しあいの後は、ずるい男の話「胸突」。借りたお金を返すのがイヤで、居留守を使ったり。とうとう突き飛ばされてしまう。それでも突かれた胸が痛いと大騒ぎをする。あまりに騒ぎ利息を負けてやるとまで言われる。もういいと言われるととたんに治ってしまう。バカバカしいほどのことを、古風な雰囲気でたっぷりみせる。ずるい男は萬斎師。ニヤっとした感がおもしろかった。
そして「鎌腹」。万作師が妻に腹を立て、侮辱された悔しさに腹に鎌をあてて死んでみせるといきがる。おー死ぬかと思ったと驚いたり、みごと腹に突き立ててみせるので見物さっしゃれと叫んでみせたりする。独りで人のいろんな面をみせる。大真面目に騒ぎ立てる様は愉快で、愉快だけでない深刻さもある。今日のところは山で仕事をして家に帰ってやることにする。すっと、そういう気持ちになったところに、ほぉと静かに感じるものがあった。行きかかった人に、これから1仕事して帰るので洗足の用意をして待っているようにと妻に伝言を頼む。引き際にほぉっと思ったのであろうか。山の夕暮れにまだ少し間のある時間の色や空気を感じた。すばらしかった。
最後の「樽婿」は、婿として初めて妻の実家に挨拶にいき、人間違いされてしまうという話。使いのものがいないと聞き、では私がついていってやろうという何某。何某の萬斎師の方が婿だと思われ、本当の婿の石田師は使われているものと間違われ家にいれてもらえない。何某が歓迎され 酒までふるまわれている様を、悔しがる。なんで間違えるかなぁ。
今年最後の狂言座は、単純なことをいかにおおらかにあらわすことができるかたっぷりとみせていただきました。 人の失敗をおもしろおかしく表しているだけでない。品よくおかしい。ここがポイント。 おおらかで、のんびりした空気感を堪能しました。

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2013年12月 1日 (日)

通し狂言 仮名手本忠臣蔵

11月に引き続き12月の歌舞伎座も通し狂言 仮名手本忠臣蔵。初日に昼夜通しで、通し狂言 仮名手本忠臣蔵を観てきました。若手はきれいだけど、重鎮ってうまい。あたりまえだけど。思い入れ強く、どっぷりと芝居の世界にひたることができるのは、やっぱりうまいほうです。
大序から十一段目まで たっぷり。先月に引き続き関容子さんの『忠臣蔵』(文庫)を持ち、おにぎりを持って、歌舞伎座で堪能してきました。まずは終日3階から観賞。楽しかった。
口上人形の後、幕があくと緊張感のただよう儀式ばった世界。この緊張感が大序の好きなところ。巳之助くんの「いかに師直」という、一声に注目しました。品があってよかった。人形のようにうつむく人物たちが、義太夫に紹介され徐々に動きだす様子が美しい。七くんの顔世は、美しく立派でした。もっと大人になったら事件のきっかけとなるような可愛らしさが出てくるのでしょう。若さのもつ美しさと、にじみでるものの差を感じる月でした。うまい。うまいのだけど、重鎮のもつ何かがたりない。とても興味深かった。血気さかんな若狭之助の染五郎さん。おだやかそうな菊之郎さんの判官は、絵になる美しさ。ただずまいでみせる。そこへドーンと居座らなくてはならない師直に海老蔵さん。悪を意識するのはわかるけれど、これは若者には難しすぎる位どり。台詞の抑揚に合わせて、身体が動いてしまうのがもったいない。儀式性があり、特に動きのない中、目立ってしまう。声を低くすることで聞き取りにくくなったのも気になった。おおらかで、でっけぇのが成田屋。そういう存在でいて欲しいので、もっともっとがんばって欲しい。鷹揚とした感じよりもこっけいになってしまった。しかし、このお役は難しすぎる。それもよくわかりました。昼夜通しで語られる物語の発端。何かが動き出したと感じあせる幕開けでした。
三段目。進物の場はいつも薄暗く、3階からだと見えにくい。えへんばっさりの中元たちが気になるのに。うすぼんやり~。下手3人が、功一さん、新十郎さん、左十次郎さんだったので、大注目。鷺坂伴内の台詞にヒヤヒヤしました。鶴蔵さんを思いだしました。鶴蔵さんは台詞がエンドレスなループに入っても愛嬌があったけどもね。
松の間刃傷の場。こんなに笑われていいのかしら師直。とてもわかりやすかったけどね。若狭之助 の染五郎さんも怒りと、菊之助さんの判官のおだやかさの対比がよかった。師直にイヤミをいわれても、悪くとらず、実直に対応しようとする。悪々師直が執拗に繰り返すと、タガが外れたように狂ってくる。一度は抑えようとするが、妥協を知らない若さゆえの正義感のようなもので、ついに爆発する。この流れが非常にすばらしかった。判官の刃を抑えながら、相手を挑発する。広い舞台の真ん中でくっつきあって相手に挑む2人。広い歌舞伎座の中央に2人だけでいても、しっかり空間を使っていました。あー立派になったなぁ。なんても思った。
判官切腹の場もよかった。諸士たちがみえない廊下にずらっと並ぶ気配を感じた。四段目の力弥は天才右近くん。すばらしかった。判官の目をじっとみる。お顔をちゃんとみるのは、力弥だけではないでしょうか。先月の梅枝くん同様。首のきれいさが目立つ。そして後ろ姿までもよかった。 力弥を見返す判官の菊之助さんは、命懸けで守られる殿にふさわしかった。見事な切腹でした。びっくるするほどうまかった。駆け付ける由良之助は幸四郎さん。かたみと言って託す刃。御意という思いで我が身をたたくところが、かたきだぞという思いがちゃんと伝わっていますかとちょっと心配になった。バランスがあまりよくないような。 表門城明渡しの場で城を枕に討ち死にと詰め寄る若い諸士たちは、若い御曹司達。力みすぎのところがちょうどいい。廣太郎くんがだんだんよくなってきました。数多く舞台にあがることって大切なのですね。きっと竹松くんもたのもしく変わることでしょう。
最後に、道行。玉三郎さん登場。もう歌舞伎座の空気が変わりました。ぱぁーっと花が咲いたよう。立ち姿だけで魅せる人です。 玉三郎さんのおかるに、海老蔵さんの勘平。玉三郎さんと踊ると、海老蔵さんは無駄な動きがなく 雰囲気がありとてもよかった。先輩がひっぱる力を感じました。重苦しくなった御見物連中を、ぱぁーと明るくしてお見送り。この先の又数々の重苦しい事ごとの間の清涼剤となる一幕のお手本のようでした。玉三郎さんってすごい。
ちょっと休憩して、もう夜の部。獅童さんの定九郎。六段目の勘平・おかるは、染五郎さんと七之助さん。勘平が運命に翻弄される様子がみていて辛くなってくたびれました。おかるは、このこと知らないし。六段目は、切なくてくたびれちゃう。
七段目。海老蔵さんの平右衛門。若々しいじゃなくて、若い。若くない人の方が若々しいのがうまいって、歌舞伎は不思議な世界。おかるは玉さま。酔いをさますために登場した姿の美しこと。手紙を盗み読みする姿の難解にひねられた最高に美しい型。あのポーズ、とってみたら身体が痛いのだろうなぁ。あにさんの平右衛門の海老蔵さんとの再会。玉三郎さんと渡りあうと、海老蔵さんの必死さも調和してよくなりました。兄に姿をみせてくれと言われ、「あにさん、こうかえ」と前をむき、後ろをむき立ってみせる。あの立ち姿の魅せること。場内がほうとわきました。本当にきれい。生きている人のきれいさ。(人形のようでなく。)すばらしい。別格です。

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