« 明治座花形舞踏公演 | トップページ | 第64回野村狂言座 »

2013年12月 1日 (日)

通し狂言 仮名手本忠臣蔵

11月に引き続き12月の歌舞伎座も通し狂言 仮名手本忠臣蔵。初日に昼夜通しで、通し狂言 仮名手本忠臣蔵を観てきました。若手はきれいだけど、重鎮ってうまい。あたりまえだけど。思い入れ強く、どっぷりと芝居の世界にひたることができるのは、やっぱりうまいほうです。
大序から十一段目まで たっぷり。先月に引き続き関容子さんの『忠臣蔵』(文庫)を持ち、おにぎりを持って、歌舞伎座で堪能してきました。まずは終日3階から観賞。楽しかった。
口上人形の後、幕があくと緊張感のただよう儀式ばった世界。この緊張感が大序の好きなところ。巳之助くんの「いかに師直」という、一声に注目しました。品があってよかった。人形のようにうつむく人物たちが、義太夫に紹介され徐々に動きだす様子が美しい。七くんの顔世は、美しく立派でした。もっと大人になったら事件のきっかけとなるような可愛らしさが出てくるのでしょう。若さのもつ美しさと、にじみでるものの差を感じる月でした。うまい。うまいのだけど、重鎮のもつ何かがたりない。とても興味深かった。血気さかんな若狭之助の染五郎さん。おだやかそうな菊之郎さんの判官は、絵になる美しさ。ただずまいでみせる。そこへドーンと居座らなくてはならない師直に海老蔵さん。悪を意識するのはわかるけれど、これは若者には難しすぎる位どり。台詞の抑揚に合わせて、身体が動いてしまうのがもったいない。儀式性があり、特に動きのない中、目立ってしまう。声を低くすることで聞き取りにくくなったのも気になった。おおらかで、でっけぇのが成田屋。そういう存在でいて欲しいので、もっともっとがんばって欲しい。鷹揚とした感じよりもこっけいになってしまった。しかし、このお役は難しすぎる。それもよくわかりました。昼夜通しで語られる物語の発端。何かが動き出したと感じあせる幕開けでした。
三段目。進物の場はいつも薄暗く、3階からだと見えにくい。えへんばっさりの中元たちが気になるのに。うすぼんやり~。下手3人が、功一さん、新十郎さん、左十次郎さんだったので、大注目。鷺坂伴内の台詞にヒヤヒヤしました。鶴蔵さんを思いだしました。鶴蔵さんは台詞がエンドレスなループに入っても愛嬌があったけどもね。
松の間刃傷の場。こんなに笑われていいのかしら師直。とてもわかりやすかったけどね。若狭之助 の染五郎さんも怒りと、菊之助さんの判官のおだやかさの対比がよかった。師直にイヤミをいわれても、悪くとらず、実直に対応しようとする。悪々師直が執拗に繰り返すと、タガが外れたように狂ってくる。一度は抑えようとするが、妥協を知らない若さゆえの正義感のようなもので、ついに爆発する。この流れが非常にすばらしかった。判官の刃を抑えながら、相手を挑発する。広い舞台の真ん中でくっつきあって相手に挑む2人。広い歌舞伎座の中央に2人だけでいても、しっかり空間を使っていました。あー立派になったなぁ。なんても思った。
判官切腹の場もよかった。諸士たちがみえない廊下にずらっと並ぶ気配を感じた。四段目の力弥は天才右近くん。すばらしかった。判官の目をじっとみる。お顔をちゃんとみるのは、力弥だけではないでしょうか。先月の梅枝くん同様。首のきれいさが目立つ。そして後ろ姿までもよかった。 力弥を見返す判官の菊之助さんは、命懸けで守られる殿にふさわしかった。見事な切腹でした。びっくるするほどうまかった。駆け付ける由良之助は幸四郎さん。かたみと言って託す刃。御意という思いで我が身をたたくところが、かたきだぞという思いがちゃんと伝わっていますかとちょっと心配になった。バランスがあまりよくないような。 表門城明渡しの場で城を枕に討ち死にと詰め寄る若い諸士たちは、若い御曹司達。力みすぎのところがちょうどいい。廣太郎くんがだんだんよくなってきました。数多く舞台にあがることって大切なのですね。きっと竹松くんもたのもしく変わることでしょう。
最後に、道行。玉三郎さん登場。もう歌舞伎座の空気が変わりました。ぱぁーっと花が咲いたよう。立ち姿だけで魅せる人です。 玉三郎さんのおかるに、海老蔵さんの勘平。玉三郎さんと踊ると、海老蔵さんは無駄な動きがなく 雰囲気がありとてもよかった。先輩がひっぱる力を感じました。重苦しくなった御見物連中を、ぱぁーと明るくしてお見送り。この先の又数々の重苦しい事ごとの間の清涼剤となる一幕のお手本のようでした。玉三郎さんってすごい。
ちょっと休憩して、もう夜の部。獅童さんの定九郎。六段目の勘平・おかるは、染五郎さんと七之助さん。勘平が運命に翻弄される様子がみていて辛くなってくたびれました。おかるは、このこと知らないし。六段目は、切なくてくたびれちゃう。
七段目。海老蔵さんの平右衛門。若々しいじゃなくて、若い。若くない人の方が若々しいのがうまいって、歌舞伎は不思議な世界。おかるは玉さま。酔いをさますために登場した姿の美しこと。手紙を盗み読みする姿の難解にひねられた最高に美しい型。あのポーズ、とってみたら身体が痛いのだろうなぁ。あにさんの平右衛門の海老蔵さんとの再会。玉三郎さんと渡りあうと、海老蔵さんの必死さも調和してよくなりました。兄に姿をみせてくれと言われ、「あにさん、こうかえ」と前をむき、後ろをむき立ってみせる。あの立ち姿の魅せること。場内がほうとわきました。本当にきれい。生きている人のきれいさ。(人形のようでなく。)すばらしい。別格です。

|

« 明治座花形舞踏公演 | トップページ | 第64回野村狂言座 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/81962/54128813

この記事へのトラックバック一覧です: 通し狂言 仮名手本忠臣蔵:

« 明治座花形舞踏公演 | トップページ | 第64回野村狂言座 »