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2013年12月13日 (金)

通し狂言 仮名手本忠臣蔵 夜

今月は、3階だけでなく奮発しても鑑賞しちゃいます。お誕生日月だもん。
1階の1番前の席にて鑑賞してきました。あー楽しかった。
夜の部は、五段目の山崎街道鉄砲渡しの場から。浅葱幕がぱーっとおりると勘平の染五郎さんが。顔が小さくてちょっと印章が薄くなるなぁと思ってしまいました。鉄砲そちらにお渡し申す 自身に火を付けお返し下され の一連の作業をよーくみる。提灯の仕組みはよくできています。火を貸す手順もなるほどと。火縄銃の火縄の火が、蓑につくのではとちょっと気をもむ。獅童さんをみて、あれ定九郎って難しかったのかと気づく。もうちょっとがんばれ。 二つ玉の場から勘平さんの頭の小ささが気にならなくなってきました。ちゃんと存在感がありました。旅の人を撃ったことに動揺し取り乱す様や、はっこれを忠義に と思いついてしまう様などがよかった。
六段目。手堅かった。母おかやの吉弥さん、 一文字屋の萬次郎さん、源六の亀蔵さん。これで、しっかりと風情が出る。おかる勘平は若いのに、ベテランの安定感。勘平の天国・地獄・天国と揺れ動く感情の描写が、はっきりしていてそこがよかった。金の工面が整ったと御紋服をいとしそうになでる。一文字屋お才の財布と自分の懐の財布を比べ絶望する。もう命が果てるというのに疑いが晴れたことを芯底喜び、なお仇打ちの連判に加わりたいと願う。若者の思いこみのようなものも出ていて、よく似合っていました。おかるの七之助さんが手堅く古風だったのも、バランスがよかった。おかるは、本当に勘平が好きなのだなぁと、これほど感じたのは初めてです。勘平さんが喜べば私もうれしい。勘平さんのことばかっり考えている娘さんでした。自分が売られてもお金を工面したいということがすんなりくる おかるちゃんでした。
舅の与市兵衛を殺してはいけないが、ならずものの定九郎は撃ってもいいのかとちょっと思ったりもするが、親や子やつれあいに別れ殿の仇をという 時代がよくでていてまあいいかと思う。
続いて七段目。祇園一力茶屋の場。このために奮発。(1階でみると6段目もとてもよかった。)
おかる・玉三郎と、奴平右衛門・海老蔵がみたくて奮発。初日より、ずっとずっとよかったように思う。1階マジックだけでないと思う(初日は3階だから)。玉三郎さんは初日からうっとりする出来でしたが、相手あってのものですので。玉三郎さんの人をひっぱる力はすばらしい。幸四郎さんまでも しっかり声がでているように思いました。由良さんあてに届いた文を、2階からおかるが鏡に映して読もうとする。そんなことできこないという気持ちがひっこんじゃう美しい形。場面が止まっているような美しさ。場内がほぉーっとなった。そしておかる平右衛門の場へ。勘平の悲劇をみんな知っているからこそ、おかる平右衛門の一時の明るさが引き立つ。おかるは、六段目とはすっかり違って(役者も違うけど)、遊女おかるの余裕があるひとあしらいをする。おまえは兄じゃひとのところも可愛らしい。貫禄があるのだけどちゃんと可愛い。あのじゃらじゃらしたくだりに魅せられました。いつまでもみていたかった。海老蔵さんの平右衛門は、考えすぎの動きがなく素直に必死に玉三郎さんのおかるにぶつかっていっていた。よかったなぁ。木戸を挟んでおしつおされつのやり取りは、ひとつもくどくなく おおらかでよかった。 その後の真実をあかすくだり。父は気の毒だけどお歳をめされているが、勘平さんは二十を越えたばかりとむせび泣く。一緒に切なくなる。勘平さんがいないなら生きていても仕方がないと命を差し出す。刃に手をかける平右衛門に、母親のために自害するからそれから首でもなんでも切ってくれという。兄が妹を手にかけたら、母として許せないだろうと気遣う。さっきまで遊女の余裕な雰囲気を出していたのに、先ほど六段目でみせたおかるが顔を出す。兄は奴の武骨な正直さで、妹に心で手を合わせ刃を振り上げる。この2人の作りだす空気がよかったなぁ。 「あにさん、こうかえ」と前むき、後ろむきの立ち姿の舞台写真でてるかなぁ。欲しい。あの立ち姿の魅せることったら。 姿も心情もすばらしかった。
心底知れたと兄弟を止める由良之助。遅いよ由良さん。いっつも遅い。今回はギリギリ間に合ったけど。さっき九太夫にされた恨みをネチネチ言う。最後に、加茂川で ほれ  水雑炊を喰らわせい。ひえー残酷。でもここいつも心の中で一緒に水雑炊を・・・と言ってしまう。六段目の勘平さんが連判に加えられた時も臓物を取り出し血判っていうところにひえーと思うけど注目しちゃう。 
すばらしい七段目でした。
十一段目。一番前でみているとちっとも疲れません。討入りの場での激闘を隅々までみる。エイエイオー。 あぁすばらしかった。十二月はやっぱり忠臣蔵です。あぁ日本人でよかった。

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