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2014年1月31日 (金)

『火車』

微熱が出てこの2~3日しんどかった

宮部みゆきさん読み返し中。宮部みゆき『火車』(新潮文庫)。この本はすごかったという印象が強い。読み返してみて、静かにすごいと思う。奇抜な事件でもない。事件があったことすら知らずにすごしているような事件。というか事件ですらない。婚約者がいなくなってしまったという親戚の子からの相談がきっかけ。なんだかおかしい、ひっかかるものがあるというところをあきらめずにコツコツ捜査する。天才的なひらめきを持つ頭のきれる刑事がいるわけでもないしく、上層部のおもわくで隠ぺいされるようなことが起きたわけでもない。ひたすらあきらめずに、かつ丁寧に捜査する。そこから少しづつ真実があきらかになる。
借金を重ね、追われるようになる。借金を作ってしまったことを、ただ責めるのではない。自己破産者となってしまったことは、時代につい踊らされただけだと説明する。誰もが陥る可能性がある怖さを秘めている。凄惨な人生を送るはめになった彼女の辛さがわかると、現実から逃げたいために行ってしまったことがわかるような気がする。その用意周到さの恐ろしさ。どんよりしてくるところに、妻の弟の子をなんと呼ぶのかいつまでも考える事務員で出てきてほっとさせられる。ここで働いていたひと時は、彼女にとってどれだけ安心できたことであろう。しかし逃げる人生を選ぶと一生おびえてくらさなくてはならないのだ。
人々の暮らしぶりにちょっと古さを感じところもあるが、この本はやはりすごい。
第6回山本周五郎賞受賞作だそうです。

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