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2014年1月10日 (金)

植田正治とジャック・アンリ・ラルティー / 明るい部屋

恵比寿の東京都写真美術館へいってきました。以前は金曜の夜はよく美術館にいっていたのですが。最近はなかなか行くことができなくなってしまいました。夜間延長の鑑賞はやっぱりいいなぁ。混み具合も、譲り合いの意識のある客層もいい。
気になっていた「植田正治とジャック・アンリ・ラルティーグ -写真であそぶ-」をみてきました。行ってよかった!
この2人は、生涯アマチュア精神を貫き、撮ることを純粋に楽しんだそうです。写真美術館の大きな壁面を飾る写真をとった植田正治が、生涯アマチュアという気持ちでいたことに驚きました。家族や故郷、家族や友人という自分の身近なものを写す2人の作品は、楽しむという点で 同じものと違う視点のそれぞれを感じた。この2人を並べることはとても面白い。
植田正治『パパとママとコドモたち』。砂丘に、植田一家が並びそれぞれポーズを取る。日曜美術館で、植田正治が細かく指示を出したと紹介されていたのを思い出す。お嬢さんがコメントしていました。花を持つ手がさがってくると怒られたそうです。着物を着た母の手の指を必ずひらかせたとか。立ち位置や向き、服装など細かいこだわりがありそう。それなのに、不思議にほんわりする。鳥取砂丘を舞台にした作品はどれも興味深く、ユニーク。このユニークな感じというものを写真から感じることはあまりない。この雰囲気を出す力を感じた。
フランス、パリ郊外のクールブヴォア生まれたジャック・アンリ・ラルティーグ。裕福な家庭に育ったことは、写真からよくわかる。子どもの頃から父親に買い与えられたカメラに親しむ。沢山の家族、友人を写し、それを記録する。『ビビとマミー、オンフルール』のように、誰をどこでとったかよくわかるタイトル。素直なんだけれどそれだけでない。小さなころからずっと撮り続けるこができたというのも、彼の才能だと思う。彼の生まれた時代の、その階級の人達のおおらかなそして豪華な遊びっぷりも楽しい。時代の匂いのようなものも感じることができた。
この2人の作品は、途中でいれまじっている。彼らの名前をピンクと青とに色分けして、並べている。その工夫も面白かった。
温かい気持ちになるものだけでなく、モダンでかっこよかった。、シュールレアリズムというのは特別な超越した人だけが発想することができるものでなく、丁寧に根気よくつくっていくこともできるのだなと思った。
私が、この展示をみて一番感じたのは丁寧に生きているってことでした。とても面白かった。
もう1つ、展示をみてきました。「高谷史郎 明るい部屋」。
わかりはしなかったけれど、割と面白かった。
「明るい部屋」とは、哲学者ロラン・バルトによって写真論の題名だそうです。今日のカメラの原型とも呼ばれる「暗い部屋」=カメラ・オブスクラは、針穴(ピンホール)から入ってくる外光によって倒立像を投影する。それと異なり、「カメラ」を持たずにプリズムや鏡とレンズだけで対象物を映し出す。うーん。解説を読んでも難しい。すべてを明るみのもとにさらすようなことらしい。写真は摸倣でそのものを映し出していないが、そのものを想起させるということだろうか。パフォーマンス《明るい部屋》の映像をじっくりみる。わかってはいないけれど、なんだか面白い。むずかしいけどね。
京都を写した映像のインスタレーション作品が特に気に入りました。家においてずっとみていたい。

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