『グラスホッパー』
『マリアビートル』が、『グラスホッパー』に続く殺し屋たちの狂想曲らしいのでそれを読む前に、伊坂 幸太郎 『グラスホッパー』(角川文庫)を再読。よくできた本だなぁ。なんど読んでも感心する。
元教師の鈴木は、妻を殺した男へ復讐するためにブラックな企業に入社する。あくどい仕事をしながら期をうかがう。ある日妻を殺した男が、車に轢かれる瞬間を目撃する。「復讐を横取りされてしまった」という設定にやられる。この物語には殺し屋達が登場する。自殺させる殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉、そして押し屋という殺し屋。こう書くと物騒なのですが、仕事の手際はいいが生き方が不器用な気がして逆に人間らしく思う。それぞれの物語がだんだんつながっていく。人を殺していくのに、どこかほっとするようなクスっとくるような時間が織り込まれていい。
人を殺す代償が自らに降りかかる。物騒だけどまっとう。すきだなぁ、この話。
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