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2014年2月14日 (金)

2月文楽公演

国立劇場小劇場にて開催されている文楽公演 第三部をみてきました。三部は、「御所桜堀川夜討」弁慶上使の段と、「本朝廿四孝」十種香の段、奥庭狐火の段です。どちらも歌舞伎ではよくみる演目ですが、文楽でみるのは初めて。元は文楽からきたものとはわかっていますが、逆にこうなるのかといろいろとうなってまいりました。面白かった。
最初は、「御所桜堀川夜討 弁慶上使の段」。和生さんの母おわさがよかった。館務めから、ちょっと離れた口調や身のこなし。しのぶを大事に思う母の必死さが、真実を知ってみているこちらにより哀れに感じさせられました。腰元信夫は、けなげでした。なにやらおっしゃっていますがもう聞こえぬ、目がみえぬと。死んでしまったしのぶちゃんは、遣い手が消えた人形でしかなく、魂が抜けて本当に物になってしまていた。とても興味深かった。
身の丈7尺という弁慶はとても大きくて驚きました。遣い手は玉也さん。ドシドシと登場。弁慶らしかった。
続いて本朝廿四孝。人間国宝祭。この雪のなか、来てよかったと思う廿四孝でした。十種香の段、切は嶋太夫さん。ガラガラしている声なのにとても状況が浮かぶ。どうなっているのでしょう。どうなっているといえば、蓑助さんの八重垣姫。今日びの娘さんよりもかわいらしい。恥ずかしがったり熱烈だったり。思い込んだらもう何もみえなくなる一途さ。あーこれ無くしちゃったなぁなんて思いました。義太夫に近い席の前の方でしたので、勝頼の姿絵に香を焚いている様子は橋でみえませんでした。姿をあらわしてからの一挙手一投足に夢中。どうしてそんなに可愛いらしいく恥ずかしがれるの。どうしてそんなに強引なのに仕方ないなぁと思える可愛らしさがあるの。どうしてどうしての嵐でした。対する濡衣には文雀さん。久しぶりに御姿をみました。そしてこの配役がなんて似合うのでしょうと感心。悲しみにくれながらも気丈に振る舞い、かと思うと諏訪法性の兜を盗むことを条件に出すというするどい態度。すばらしかった。
長尾謙信が、白須賀六郎と原小文治をまとめて呼んで、勝頼を追わせるのですね。(歌舞伎だと白須賀六郎がひとくさりカッコよく決めてから追った後、あいつだけでは心元ないと原小文治を呼び寄せ、更に後をおわせるので。)
大層驚き、感心しきりの後に奥庭狐火の段。清治さんのきりだす三味線の迫力。背筋を伸ばしました。この段の八重垣姫は、勘十郎さん。まずは狐として登場。絶対に何か起こるという雰囲気満点の中、何かが起こりました!予定調和がいい。最初は橋で蓑助さんの八重垣姫がみえませんでしたが、今度は兜を手に水に映る我が姿を映す勘十郎さんの八重垣姫がよくみえました。ブンブンと音がしそうなほど大きな動きの八重垣姫。下手すると乱暴になってしまうギリギリのところで、活き活きと八重垣姫が活躍していました。面白かったなぁ。

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