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2014年3月 4日 (火)

『クロスファイア〈下〉』

引き続き 宮部みゆき『クロスファイア〈下〉』(光文社文庫)を読む。
相手が残忍な犯罪を犯し、かつ罰をあたらえらることから逃げおおせている。常人にはない力を持って生まれてしまったものがこの力をもって生まれてしまった意義を、制裁に見出す。それでも躊躇いを覚えずに焼き殺す淳子に感情移入し難いかった。引いてみてしまったいた。犯罪者は処刑することが正しくないのではと迷い始めるのが、自分にとって大切な人を得た時である。どうしてもなくしたくないもの。自分を犠牲にしても守りたいものに出会うったから、やっと理解できた感情が切なく、いとおしかった。
尋常でない残酷な犯罪が起こり、犠牲になった家族が、仇をとらずにいられない気持ちは誰でもがわかるようでそれは想像にすぎない。制裁を加えることにも嫌悪感を持つ。もし、自分の身に振りかかったら正義とは何かどう考えるであろうかなどいろいろ考えさせられた。
力を持って生まれてしまった青木淳子が、同じく力を持つ木戸に逢い、大切な人となる。終わりはどうあれ、その幸せに救われた。しっかりとした考察をするには、おだやかな暮らしというものが必要なのかもしれない。
宮部みゆきの描く、不思議な力をもつ登場人物たち。人に気味悪がられるので、心をひらくことができない。それでもその力を人を助けることに使おうとする。最後には、自分が手を貸したことを知られなくてもいいという無償の愛で。正義がどうであれ、人間をそう描くことに、胸が苦しくなった。

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