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2014年4月19日 (土)

『シリウスの道〈上〉〈下〉』

藤原伊織『シリウスの道〈上〉〈下〉』(文春文庫)を読む。
藤原伊織の描く、不器用で生きていきにくそうな「美学」を持つ男が好きだ。痩せ我慢だかもしれないが、熾烈な戦いに正面から挑む。自分のなり格好には無頓着だが、生きる姿勢にはこだわる。
大手広告代理店18億円の広告コンペを巡りしのぎを削る。他社だけでなく社内にも敵がいるっているのが、まったくもってくだらない。派閥ってくだらない。職場を去れば仲間と呼べる人は誰も残らないだろうなとは思いつつも やはりイヤになる。18億って・・何の商品でもなく、イメージにそんなお金が動くのか。それでも絵空事の、用意に想像できてしまう展開にはならない。さすが。
主人公の辰村祐介には、過去の暗い影をひきづり、どうしても明るい道を歩くことができない。寄り添い生きていこうとする優秀な女子や主人公に感化され、男の美学を持つ周りにいる男はハッピーエンドにはならない。でも、決して不幸ではない。損をしても人に恥じることのない生き方。この心意気さえもっていれば、不器用ではある、が まっとうに生きていくことができるから。
もっともっと藤原伊織を読みたかった。

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