明治座 五月花形歌舞伎 夜の部
明治座にて、伊達の十役をみてきました。染五郎祭。彼は端正だし、うまい。与右衛門の誠実さや、土手の道哲の軽い悪党の雰囲気もよかった。しっかりとした政岡でしたし。しかし「伊達の十役」が輝かない。細川勝元なんて、くたびれはてていたせいなのか、キリっとした名さばき感がない。普段ならもっと達者にできそうなのに。なぜ、十役を一人でするのか。しかも早替りをし宙乗りまでして。わからない。残念ながら、そこまで長時間・ほぼ一人が全ての観客を魅了させ続けることはできないのではないか。勘三郎さんならできたかな。この演目を復活したときの先代の猿之助さんにはその力があったのだと思う。でも、今はみな魅力的になってきたし、1人の力だけでなく役者どおしの呼応の妙を楽しみたい。また時代は変わるのであろうけれども。そんなことを考えた。よかったんです。よかったのだけど、観ている方もくたびれます。正岡は、じっくりとみてみたいと思った。飄々とした軽みのある、小悪党ものもいいのではないか。あれもこれもでなく、本来の演目をじっくりとみたい。 独力で魅了すというよりは、みんなの力で大円団っていうほうを、好みます。
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