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2014年6月30日 (月)

『仙台ぐらし』

伊坂幸太郎『仙台ぐらし』(荒蝦夷出版)を読む。  (2012/2)
伊坂幸太郎が地元仙台に根付き、そこに足をつけ愛していることがよくわかった。作品を読んでも仙台を想う気持ちはわかるけれど。よりわかった文章でした。定期刊行物『仙台学』に寄稿したエッセイが中心。
2011年2月。震災。その前に書かれた文章、その後に書かれた文章が掲載されています。小さなことで不安に思い意外と妻を頼るようなエピソードが多く、でもこの先に震災が起こってしまうことを知っていて読んでいる。小さな不安に心配(オタオタ)できることって幸せだったのではと考えたり。
伊坂氏が、震災のコメントを発信できなかったという気持ちや、「僕は、楽しい話を書きたい」とたどりついたことなどを、少し胸が苦しくなりながら読んだ。

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2014年6月27日 (金)

小倉充子と江戸の仲間たち

職場の同僚と日本橋三越へ。誕生日が同じというだけでなく何やら気になる人なので、私の気になるものを一緒に見にいきませんかとお誘い。彼女の友人も参加。この日は新月。新月に新しいことを始めたり会ったりするといいそうです。 本館4階 呉服フロアで開催中の「小倉充子と江戸の仲間たち」。小倉充子贔屓なので、楽しみにかけつけました。「牡丹灯籠」と「らくだ」のゆかた。おりこまれたアイテムをみつけてニヤっと喜ぶ。いかしてるぅ。 仲間達の帯留も気に入りました。特にビールの。

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2014年6月26日 (木)

台北 國立故宮博物院-神品至宝-

白菜行列160分待ちらしいという情報をおさるから教えてもらった。おそるおそる東京国立博物館へ行ってみる。「キトラ古墳壁画」展も、2回チャレンジしたけれど行列をみてあきらめた。同じことになるのかなと思いつつ上野へ。白菜は以外の作品は本館の特別室展示なので、平成館の作品だけでも鑑賞できるでしょう。
特別展「台北 國立故宮博物院-神品至宝-」をみてきました。平成館にはすんなり入場可能。白菜は90分待ちらしい。昼間は180分待ちの札が出ていたそうです。
おさると台北に行った折、國立故宮博物院にいってきました。ツアーの中に博物館巡りが入っていたのでそれで鑑賞。別の日にも2人でタクシーで出向いて鑑賞しました。2回いったのに、白菜と角煮(翠玉白菜すいぎょくはくさいと肉形石にくがたいし)のことしか覚えていません。あと売店でキャアキャアお買い物したことと。やたらきれいな色の石があったような・・・
北宋から南宋・元・明・清にいたる皇室のコレクションでした。こうして民間人がしかも異国の民間人が鑑賞しているなんて、歴代皇帝も思うまい。中国が、あこがれの国であったころの時代の名品。今はコピーのイメージになりましたが。歴代皇帝の美意識に適った傑作、政治権力の正統性を象徴する優品と聞いてみると面白い。自分の力を示す名品であり、作品を愛でる嗜好のおかげでより発展した芸術作品でもあるのだと思った。
北宋の皇帝・徽宗の愛した青磁で、宮廷のためのもの。青磁の色がとてもきれいだった。別格の色。よくわからなくても、これが静かで美しいことはよくわかる。
書の展示も多かった。北宋士大夫の書だそうです。うーむ、青磁に引き続き これも心得があれば面白いだろうに思いつつみる。どのようなことを記した書なのかという解説をみると面白い。脚気で休んでいたが、そろそろ出られそうだということを後任の人に告げる45歳 の書状とか(草書脚気帖頁 - 蔡襄筆)。それが後世に残すべき素晴らしい筆なのであろうが、そんな内容とは。権力者といえども、兄弟が不仲で弟が左遷された時に書いた書とか。説明を読んで、脳内でずいぶん意訳してしまったのかも。
王への進言に対し、王自身が赤字でコメントをしたもの。添削のように書かれた赤い文字に赤ペン先生という単語が頭をよぎる。文字がデザインのようでキレイだなと思った書状は、マンゴーの干したものの存在をしらなかったので献上品に対し 無用なのでもうおくらなくてよいというコメントだと紹介されていました。朕はこのような人で、このように考え、このようにこのように と俺俺な発言が続く。 ありがたいものなのでしょうが、勝手に親しみを覚え楽しむことができました。中華の文明そのもの、人類史上においても特別な意味をもったコレクション、とめいうたれているようには鑑賞できていないけれども、エンジョイしました。ひきづり出し叱ろうとしたときに宮殿のてすりが折れてしまった図柄。王がいましめのためにその絵を飾るという折檻図軸。道徳的な話だなぁと思うものもありました。
乾隆帝コレクション、紫檀多宝格(したんたほうかく)。「皇帝の玩具箱」ともよばれたものは、古代の玉器や磁器のミニチュアが、整然と収められる箱。四方から鑑賞できるガラスケースに入れられており、くるくると回って鑑賞。文句なく面白い。
最後の方に展示された、清朝宮廷工房の名品。 景徳鎮窯の「藍地描金粉彩游魚文回転瓶(らんじびょうきんふんさいゆうぎょもんかいてんへい)」内瓶を回転させると、外瓶の窓から魚が泳ぐ文様がのぞく仕組み。絵本タッチの斬新に愛らしい魚にびっくり。こんな細かい名品なのに大胆な顔の魚でした。その隣に「人と熊」。「白菜」や「肉」につづく人気をあおるような展示の仕方が面白かった。日本でのブレイク必至と。黒と白の玉材を生かした、本当に奇跡的な配色の作品。熊の空いた口の中まできちんと彫ってある。力比べをしているモンゴル風の服を着た人と熊らしい。ます。近くでみていたご婦人が熊と力比べなんかしないでよとつぶやいていました。熊のお尻までかわいかった。
売店の商品はちょっと残念。なんだか作りがあらい。メイドインチャイナでしょうか。うーん。
最後に本館に。本館特別5室にて展示の、「翠玉白菜」をみにいく。閉館まで30分なのに70分待ちという表示。計算があわない。迷いつつ並ぶ。10分ほどで展示室に入室できました。そこからもまだ行列。「翠玉白菜」ただ1品の展示という部屋でした。東博の本気の行列対策に感心している内、部屋に入って10分ちょっとで白菜展示ケースの最前列にたどりつきました。以前、台北でみたのにもかかわらずこんな大きさだったかしらと驚く。手の平くらいの大きな白菜。照明効果も相まってキラキラとみずみずしくきらめく。最前列で止まらずにジリジリとぐるっと一周したあと、2列目以降で好きなだけ鑑賞していいとはうまいこと考えましたね、東博さん。門外不出の「神品」を2週間限定公開!でも180分は待てない。モナリザが来日したときの東博の建物の周りを人が行列している白黒の写真を思い出した。さぞ、すごかったことであろうと思いながら帰路についた。

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2014年6月21日 (土)

コクーン歌舞伎 三人吉三 再び

14062 もう一度、コクーン歌舞伎へ。なんて面白いのだろう。
前回は、わーわーわーと斬新さに驚いていました。今回はじっくりと味わう。序幕、三人の吉三が出会うところ。お嬢の七くんは、濡れ手に粟の百両を出せと言われて相手をみる。挑みがいのありそうな奴だとわかるとニヤっとする。顔でニヤっとするのでなく、全身で面白がっている。さぁさぁと相手にけしかける。声をかけたお坊の松也くんも、何かにいらだっているような、変な怖さがある。いい相手がみつかったと、争うことを楽しんでいる2人。その空気がたっぷり出ていて面白かった。休憩の時に、誰かに突っかかりたくなるような気分になった。すっかり乗せられた。
そんな2人の間に、和尚の勘九郎が割って入る。おいおい何をやっているんだと。刃物にも喧嘩にもひるむどころか進んで飛び込む。勘九郎和尚のセリフには歌舞伎へ引き戻すパワーがあった。あえて性急にセリフを言うことで、はすっぱでガラの悪い雰囲気で盛り上げたところ、どーんと歌舞伎に引きもどすような。ふっと勘三郎が出てきたような息づかいに胸が熱くなった。すごいなぁ。
市井の様子を音であらわす。下座音楽を遣わないなんてどうなっちゃうのだろうと思ったけれど、生活にありそうな音がでてきてしっくりきた。川面に反射する光のキラキラや、においのしそうな風情があってよかった。歌舞伎には、豪華絢爛な華やかさもあれば、世話ものの市井の雰囲気もある。コクーンには世話の雰囲気がよく似合うのかもしれない。
三人の吉三は、つるんで悪いことをしている訳ではない。最近、世間に名をとどろかせている吉三だけあって度胸のある悪いことをしているのだろう。 たいした重い意志を持っている訳ではなく、偶然のチャンスに ニヤリと残酷に悪いことをする。 追われる身になり、末はロクな終わりでないことを含んで生きている。 3人の絆は固い。非道なことをしている3人だけど、相手の為なら命も惜しくないほどお互いを思う。 そんな3人に因果がからみつく。荒れ果てた和尚の寺で、お嬢とお坊が それじゃあ一緒に死のうじゃないかという場は幸せそうですらあった。 最後、雪の立ち廻り。何と戦っているのかわからずに刀を振りまわす静寂な世界が美しかった。破壊にむかっているのに。3人共、もはやこれまでと自刃する。お嬢とお坊が互いを求め、和尚が2人をちゃんと見守ってから果てる。死ぬってことを美化して、風紀を乱しそうな程 綺麗だった。

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2014年6月20日 (金)

国立西洋美術館 常設展

母と国立西洋美術館へ。企画展を開催していない時なのでもっとすいているかと思いました。ガラガラでなくパラパラぐらいの人。ゆっくり鑑賞。残念なのは、照明のあたり具合。中盤あたりは、光って作品がよくみえない。もったいない。
びっくりするほどの名品揃い。モネの部屋とか。マネ、マネ、ルノワール、ルノワール・・・ゴッホ、ゴーギャン、ゴーギャン。大混雑の企画展にいくよりもずっと贅沢な気分になれる場所です。

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2014年6月17日 (火)

プチ初夏休み

プチ初夏休み。おさるとおでかけ。お休みなのに朝からしっかり遊ぶ。9時30分から日比谷で「グランド・ブダペスト・ホテル」をみる。邦非映非連の活動。邦画じゃないけど。
勝手にイメージしていた内容と異なり、びっくりする。有能なコンシェルジュと、上流階級の宿泊者達。紳士は仕事の駆け引きをし、婦人は恋の駆け引きをし、コンシェルジの完璧な対応と渦巻く腹黒い陰謀的な想像でした。全然違う。伝説のコンシェルジュ、究極のおもてなしぐらいのキーワードしか知らないでみたのですがね。
空想の土地に立つ空想のホテル「グランド・ブダペスト・ホテル」。品のいい豪華なホテルに完璧な調度品。謎のオーナーにまかされ一流のスタッフを取り仕切るのは、“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれるグスタヴ・H。
自分の利益にもうるさいが、人一倍ホテルをホテルマンを愛し、ホテルにコンシェルジュという職業に誇りを持つ男。時は大戦前夜のヨーロッパ大陸。戦争が日常を襲っても、上顧客のマダムDの突然死で 貴族の新関に襲われても、コンシェルジュとして真っ向から対決する。ずるさと誇りの加減がいい。芯になる、部下を守りぬく心にドンとやられてしまう。とにかく美しい。極悪にも極悪の美がある。冷酷な貴族が、財産のためになんでもする怖さ。そこにも美学がある。でてくるものが全て時代ががっていて、美しかった。ありえないことがたっぷり織り込んである。ファンタジーではないけれどファンタジーなのかもしれない。残酷さもあり美しかった。面白い!っていうものではないけど、すごく気にいった。ハリウッド超大作とは、計る基準が違う贅沢な映画。

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熊谷守一特別展

1406_4 映画に驚いたあと、ホテルでランチ。おもてなしっぷりを拝見ぐらいの気分で選んだのですが、そういう映画ではなかった。テラスで風に吹かれながらのどかにランチ。浅草なので、スカイツリーとアサヒビールのモニュメントがみえました。神戸の歌舞キチのかわいこちゃんの御誕生日でしたので、お祝いの乾杯をしました。本人は神戸ですが・・・
14062 次に池袋へ移動。要町にある熊谷守一美術館へいってきました。以前から気になっていた美術館。年に一度、全館で熊谷守一特別展を開催しているらしいです。29周年記念の展示をみてきました。住宅街の中に突然美術館が。周りになじむあたたかな美術館。外壁のアリンコがキュート。近くにこんなおうちがあったら、遠回りしてでも前を通りたくなりそう。そうひろくない館内。丁寧に作品を鑑賞。座ることのできる作品(ベンチ)などもあり、ひとづつがあったかく微笑みが浮かぶ。単純なラインで構成されているのになぁ。絶対にひくことのできないライン。いいなぁ。「仏前」とか、「夏」とかに特にしびれました。書もすてきでした。花よりだんごだんご 九十七歳。写真の展示もありました。仙人のような風貌。ぴったりです。年表の表現の仕方に、人柄を感じました。1階には喫茶店もありました。いい美術館でした。

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四谷シモン展

池袋 要町 から、新副都心線で一路横浜へ。乗り換えなし 1時間かからずに到着。まだ4時過ぎです。そごうで開催中の四谷シモン展をみてきました。ポスターも魅惑的でしたし、日曜美術館のアートシーンでの四谷シモン氏のスーツ姿氏のインタビューが大層かっこよかったので。作品は怖く美しい。じっとその顔をみつめると瞬きをしそうな人形達。一人で座って人形と対峙できる一画もあり。生々しさとか神々しさとか混沌していて、怖いけどみたい。そんな世界でした。
初夏休みデーのしあげに、ビールで乾杯してきました。おいしかった。ルミネをちょっと冷やかして帰宅。日比谷→浅草→池袋→横浜と移動し、アートまみれ。濃厚な一日でした。楽しかった。

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2014年6月13日 (金)

小倉染色図案工房展

「小倉染色図案工房展 於 大和屋履物店」開催と知り、職場帰りに歩いて駆けつけました。
木綿帯、かっこいいなぁ。いいなぁ。いいなぁ。今回は、東都美味図鑑(とうとおいしいものずかん)のてぬぐいにしました。海苔巻きやら桜餅やら麦酒やら。おいしいものがいっぱいのおいしそうなてぬぐい。おいしそうなのにかっこいいとはこれいかに。おいしものスタンプラリーをして楽しめそう。
バルデュス展帰りのおさる達と上野で合流しご飯を食べる。テラス席が気持ちのいい季節。時々あがる噴水の青白さと夜の青さがきれいでした。

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2014年6月 9日 (月)

浅田真央 23年の軌跡展

横浜高島屋へ浅田真央展をみにいった。先日は到着が遅くクローズしていましたが今度は無事にみることができました。
無料の展示ですが、沢山のパネルと衣装とメダルで、たっぷり鑑賞。センスのある子が努力を惜しまず歩んできたのだなぁと改めて思った。小さな頃からバツグンにきれいなスケーティングでしたが、前回のオリンピックから写真でも違うがわかる。身体中で表現しています。どの時期の写真をみても愛される真央だなと思う。最後にこの間のオリンピックのフリーの演技の映像がながれていた。身体中からわき立つ気配と気力にあふれていた。すごい。この演技は何度みても、鼻の奥がツンとしてしまう。心に残る演技。衣装の展示の横に6位とかかれていて、あっそうだったかなと思った。何位だか忘れていた。でもあのスケートはよく覚えている。

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2014年6月 7日 (土)

コクーン歌舞伎第十四弾 三人吉三

かつてない『三人吉三』が幕を開ける!と宣伝文句にありました。看板に偽りなし。これは、コクーン歌舞伎というものを積み上げ続けてきたからこその作品だと思った。第十四弾という積み重ねの上で、斬新で粗野で、簡単に人のものを横取りし、運命の歯車が変な方へと走っていってしまう様が非常に面白かった。若者にしかだせない、あやうさが同居した歌舞伎になっていて、大層びっくりした。なんて面白いのだろう。
2001、2007年とコクーンでコクーン歌舞伎による『三人吉三』をみてきた。あの時も衝撃だった。違う衝撃がちゃんとあった。万歳!
大川端まで、丁寧にでもつまらなくならないよう物語が進む。下座じゃないけど、人が鳴らしている音は生の音で、カンカンコツコツ言う音は知っている音で、違和感がなくいい入り方をしてくる。おっと思っていると、物語が進む。十三郎の新悟くんがでてきたのときに、ものすごく歌舞伎感が出た。歌舞伎道まっしぐらで古風で あー いい雰囲気が出るなぁとうまくなったなと思う。鶴松くんのただならぬ色気で、物語がどんどんうごく。そして、有名な大川端。昔、ここで盆が回ったときにどんなに驚いたか、心が思い出した。今回は、七くんの後ろ姿にほれぼれした。手を振り上る。しっかり衣装を着ていても、背骨が 背中の流れがわかるような、リンとした姿だった。しびれた。お坊の松也くんは渋谷っぽい若者のような、ちょっと狂ったような勢いがあった。セリフをよどみなくスラスラと並べたてる。最初は言葉が走っているのかと思ったが、七くんとの掛け合いでテンポを変える演出だとわかってきた。なんだこれ。でもすごくいい。 衣装の斬新な色も効果大である。これを勘三郎がみたら、どんなに喜ぶだろう。そしてもっとすごいところに持って行っちゃうのだろうな。 さぁさぁと盛り上がりに盛り上がった時に、ぱーっと舞台に駆け上がる男。じゃぶじゃぶと池を踏み超え、2人の間に入る。勘三郎が出てきたと思った。そこにいるのはまさしく勘九郎なのだけど、もう勘三郎も一緒に飛び出て来ていて、もう最高潮に胸が熱くなって涙も出てきた。男惚れするのも、もっともな和尚だった。懐が深い男だった。かっこいいなぁ。
お嬢とお坊が出会ったとき、互いに名をなのる。それじゃお前があのお吉なのかと、お互いに一目おく。そこから、この2人の間にちゃんとつながりができていて、お嬢が女装した男という以上の存在になっていて、最後に一緒に死のうとすることが美しくさえみえた。 お嬢とお坊が、和尚を慕い、和尚は大事な2人を守ろうとした。 父を妹を思うが、そちらは幸せにしてやれなかった。やくざな生き方をした報いが自分にふりかかる。それでもお嬢とお坊を守ろうとする。 若々しくて、エネルギーがあふれてしまった三人吉三は、とにかく面白かった。松也くんのお坊の青い感じ、勢いで進んでいく様を魅せていた。やるなぁ。 大森さんが、真那胡さんが吹き込んだ雰囲気も面白い効果を生んだ。音がすごくよかった。
14061 大詰の立ち回りにワクワクした。平場の一番前だったので、舞台と一体化していた。雪の中の大立ち回りの視野というものは、こんなにチラチラしてみえにくいものなのかとびっくりした。カバンの中にも雪がいっぱいはいってた。 ドキドキし、おかしく、ワクワクした。こんなすごいものをみせてくれてありがとう。ばんざーい!

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2014年6月 6日 (金)

超・超・超 超絶技巧!明治工芸の粋

今日からコクーン歌舞伎がはじまります。どんな舞台になったのかなぁ。明日まで待ちきれません。

三井記念美術館にて、「超絶技巧!明治工芸の粋~村田コレクション一挙公開~」をみてきました。日曜美術館効果でみたくなりました。金曜の夜は、ナイトミュージアムと称し時間を延長した上 ちょっとお得な料金で鑑賞できました。ありがとうございます。
超・超・超 超絶な技巧でした。小声でなんどもすごいとつぶやく。チョーゼツーとくねくねしながら明治工芸の粋をたっぷりと楽しみました。
とにもかくにも驚く。日曜美術館でみた安藤緑山の牙彫。本物はもっとすごい。何故象牙でこれを?これとこれを組み合わせるなど不思議に思いつつ、巧みさにびっくり。みていて楽しくなってくる。弟子をとらず一切の記録を残さなかった謎の男らしい。芸術にとりつかれていた男であったのであろうなど、いろいろと想像できておもしろい。
金工 正阿弥勝義の「古瓦鳩香炉」古瓦の上のハトが小さなクモをじっとみている。朽ちた古瓦の感じと、毛並みの細かなキッとしたハト。首をひねり鋭い視線の先に、小さなクモがいる。この構図だけでもみごとなのに、それが実は香炉であるという実用性をももつ作品。
「群鶏図香炉」も、みればみれるほど面白かった。細かな菊の上に鶏が羽をふくらませて乗っている。本体をぐるっと鶏が囲む。ひよこも。器の脚の部分にまで繊細な彫刻がほどこされ、どれだけ凝ったら気がすむのであろうと思った。
印籠も素敵でした。勝守の「風仙図金工印籠」。風神が指で鼻や口を広げてすごい顔をしている。裏側ではその顔をみて怯えているものが描かれていました。洒落てます。
刀装具。加納夏雄のものは、凝っている上にあえて残した空間が効いていてすこぶる格好いい。
高村光雲の「法師狸」にはみとれました。
笑っちゃうくらい驚いたのは、正阿弥勝義の「鯉鮟鱇対花瓶」。パカーっと口をあけさせられたアンコウの周りに、ハモがぐるりと取り囲む。そしてそばにハマグリだったかな。ものすごくリアルで気持が悪いほど。花瓶というからには、あいた口に花を活けるのでしょうか。ありえない。かんがえられません。なんじゃこりゃー。対になった花瓶は鯉があんぐりと口をあけていました。もうびっくりしておかしくなっちゃった。
一番のお気に入りは、薩摩の茶碗。精巧山の「雀蝶尽し茶碗」です。なんだか細かい柄だなと思ったら・・・外側に無数の雀。ちゃんと表情がある雀達がぎっしり。内側にはもっと細かい蝶。雀は肉眼でなんとか雀とわかりますが、内側は備え付けの拡大鏡でなんとか蝶だとわかるくらいの細かさ。えええーーーー。どうなっているのでしょう。すばらしいです。
村田コレクションとは、1950年生まれの村田理如(まさゆき)氏が、47歳で当時専務を務めていた村田製作所を辞め、明治工芸の収集に邁進することを決意し集めたそうです。2000年には清水三年坂美術館を設立。裕福な人の正しいお金の遣い方だなぁ。ひとつひとつすばらしいものですが、一堂にかいしているところをみると、なお圧巻です。明治という時代の工芸の力強さを感じる。美術館の所蔵品のうち、選りすぐりの約160点を紹介とのこと。この展覧会が終わっても、清水三年坂美術館にいったらこれらが鑑賞できるということでしょうか。京都でまたみたいなぁ。
細かく丁寧で優雅な作品でした。現代は、なにもかも便利である。便利すぎる。アイデアさえあれば、それをコンピューターグラフィックの世界でいくらでも繊細に表現することができそうである。その上、コツコツと地道につみあげてつくりあげていくことに、万人が感心するというわけではないような気がする。そういう風潮の世の中では、このように手のこんだものを創りあげることは不可能かもしれない。芸術作品をみると、便利とひきかえに無くしてしまったものがあることを感じます。それでいいのであろうか。

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2014年6月 5日 (木)

『そして生活はつづく』

横浜高島屋で開催がはじまった浅田真央展を見にいこうと、初日にかけつけましたが入場時間が過ぎていてはいれませんでした・・・

星野源『そして生活はつづく』 (文春文庫) を読む。俳優で音楽家、星野源はじめてのエッセイ集と書かれていました。タレントが書いた本でなく、ちゃんとしたエッセイ集でした。部屋が片付かないとか、請求書を払おうとしてもどうしても払いにいけないというような、割と日常なことなのだけれどもちゃんと面白い。んー面白いというか、考えられないほどダメな人。いさぎよいダメっぷり。ダメをひけらかさず淡々とダメで、それでも平気なのには、芯があっていい。お母さんのとんでもなさが秀逸。声を出して笑った。読み返し笑い、もう一度読んで笑った。なぜ、「こどもを使って遊んでいたのか」ということを大人になってから知る。その裏に想いに感動した。この親すごい。
同じひとりっことしては、このぐらい立派になりたい。いかしたエッセイ。

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2014年6月 1日 (日)

おかえりなさい&おめでとう六月大歌舞伎

1406 六月大歌舞伎の初日の歌舞伎座へ。昼夜3階の一番後ろから観劇。
なんといっても、おかえりなさい仁左衛門さん!劇場中が熱くおでむかえ。あいかわらずいい男っぷり。まってましたという声と拍手が多く、せっかくの「まっていたとはありがてぇ」がちょっと聞こえにくかったけど、もうそういうのは超えちゃう浮かれ感が場内に満ちていました。あーよかった。
1406_3 夜の部には左近くんの初舞台。俳優祭で見事な幡随長兵衛を見せ、みんなの心を鷲掴みにしたチビっこ左近くん。繁蔵も、立派でした。ちっちゃいのにキビキビ動く。蘭平と繁蔵が、実際にも親子というところが、この芸を受け継いでいくのだと思わせる。曲者が逃げ出したとの知らせに、息子 繁蔵に捜索を命じる。勇み花道を駆ける繁蔵が、かわいくかっこいい。それを心配する蘭平の様子がよかった。後半の大立廻り。かかって行く方もいい。緊張感にあふれ、まかしておけという気迫を強く感じる。全員の信頼感とか、想いのようなものも見せ場のひとつかもしれない。ジーンとする。大立ち廻りの顔ぶれに世代交代を感じる。名題披露した人達は、こういう粋のいい立ち廻りではみないのだなぁと。蘭平物狂は、やっぱりいい。
昼の冒頭の「お国山三 春霞歌舞伎草紙」。若手が沢山でていて、みどころがあり意外と(失礼)面白かった。どうしても天才右近くんばかりみて、なおかつうまいなぁと感心しちゃう。あと米吉くんにただようあどけないのにただならぬ色気に注目。
「大石最後の一日」幸四郎さんは場内が暗い芝居にむいているかも。磯貝の錦之助さんが若々しかった。隼人くんの細川内記も若人らしく品がありよかった。
幸四郎さんの素襖落の後、夜の部最後の演目「名月八幡祭」隣の見知らぬご夫婦が、9時10時代のドラマみたいにドロドロしてきたねと喜んでいました。あーこれ、福助さんでみたなぁと思いかえしながらみる。今回の芸者美代吉は芝雀さん。人をデレっとさせることを平気で言える。色気って、なまめかしいものばかりでなく、こういうしおらしさにも効果絶大。実直な縮屋新助を吉右衛門さんが。来年も、反物を売りに来ますからと最後に格安で反物を置いていく。お代は来年お願いしますと。なるほど・・その信用は気分がいいし、来年も買うのであろうなぁ。行商の手腕に感心。その素朴な新助さんを、芝雀美代吉は悪気なく袖にする、だって田舎ものだから。私が田舎に住める訳がないじゃあないか。奔放というよりもその場しのぎで楽しい方に転がる女。でもいい女。そんな風情がよく出ていた。バチがあたって当然というような悪女よりも、どうしようもない感がいいかもしれない。三次の錦之助さんも、自分の見栄えのよさを認識して真面目なヤツを小馬鹿にしている仕方のなさがでていて、なかなかの悪党でした。裏切られた新助が、心を無くす。深川八幡の祭礼の夜に、祭の乗りと反対に淡々と音もなく狂っていく。2時間という長い演目ですが飽きなかった。魚惣の歌六さんが、すこぶる格好よかった。惚れました。本家がえりした年の祭だからと、はりこんで仕度を整える。田舎に帰るという新助を、だだっこのように祭りをみてから行けと引きとめるところがちょっとかわいい。美代吉に入れあげる新助を心配して、美代吉宅へ押しかけ非道な2人に啖呵をきってみせるところの男っぷりのいいこと。歌女之丞さんとの夫婦のやりとりも素敵でした。
昼の「実盛物語」。義太夫狂言の良さをしみじみ感じました。うまい人達の義太夫狂言って、なんていいのだろう。あらためて、源平布引滝 実盛物語を味わう。実盛は菊五郎さん。しみじみとよかった。これが、生締ものか。語りをきかせるのでなく、小万にまつわる源氏の白旗を巡る琵琶湖でのことを、小万の源氏をおもうが故の出来事を語ってみせる。想いを語っていることがよく伝わって感心した。 特にじーんとしたのが九郎助の家橘さん。ちょびっと泣かされた。小よしの右之助さんとの息も合い、小万を思って泣いたり怒ったりするところが本当によかった。左團次さんの瀬尾は、安心。とくに小万の亡骸をそっと見つめるところや、太郎吉に手柄をたてさせようと話かける優しさが、最初の横暴な振る舞いの後 とても効いていた。いいなぁ義太夫狂言。(の、うまいの。)
11時から21時30分まで、たっぷり歌舞伎漬けの一日でした。

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