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2014年6月21日 (土)

コクーン歌舞伎 三人吉三 再び

14062 もう一度、コクーン歌舞伎へ。なんて面白いのだろう。
前回は、わーわーわーと斬新さに驚いていました。今回はじっくりと味わう。序幕、三人の吉三が出会うところ。お嬢の七くんは、濡れ手に粟の百両を出せと言われて相手をみる。挑みがいのありそうな奴だとわかるとニヤっとする。顔でニヤっとするのでなく、全身で面白がっている。さぁさぁと相手にけしかける。声をかけたお坊の松也くんも、何かにいらだっているような、変な怖さがある。いい相手がみつかったと、争うことを楽しんでいる2人。その空気がたっぷり出ていて面白かった。休憩の時に、誰かに突っかかりたくなるような気分になった。すっかり乗せられた。
そんな2人の間に、和尚の勘九郎が割って入る。おいおい何をやっているんだと。刃物にも喧嘩にもひるむどころか進んで飛び込む。勘九郎和尚のセリフには歌舞伎へ引き戻すパワーがあった。あえて性急にセリフを言うことで、はすっぱでガラの悪い雰囲気で盛り上げたところ、どーんと歌舞伎に引きもどすような。ふっと勘三郎が出てきたような息づかいに胸が熱くなった。すごいなぁ。
市井の様子を音であらわす。下座音楽を遣わないなんてどうなっちゃうのだろうと思ったけれど、生活にありそうな音がでてきてしっくりきた。川面に反射する光のキラキラや、においのしそうな風情があってよかった。歌舞伎には、豪華絢爛な華やかさもあれば、世話ものの市井の雰囲気もある。コクーンには世話の雰囲気がよく似合うのかもしれない。
三人の吉三は、つるんで悪いことをしている訳ではない。最近、世間に名をとどろかせている吉三だけあって度胸のある悪いことをしているのだろう。 たいした重い意志を持っている訳ではなく、偶然のチャンスに ニヤリと残酷に悪いことをする。 追われる身になり、末はロクな終わりでないことを含んで生きている。 3人の絆は固い。非道なことをしている3人だけど、相手の為なら命も惜しくないほどお互いを思う。 そんな3人に因果がからみつく。荒れ果てた和尚の寺で、お嬢とお坊が それじゃあ一緒に死のうじゃないかという場は幸せそうですらあった。 最後、雪の立ち廻り。何と戦っているのかわからずに刀を振りまわす静寂な世界が美しかった。破壊にむかっているのに。3人共、もはやこれまでと自刃する。お嬢とお坊が互いを求め、和尚が2人をちゃんと見守ってから果てる。死ぬってことを美化して、風紀を乱しそうな程 綺麗だった。

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コメント

初めてコメントします。
バンス再演時から時折拝見してましたが、フラッパーのコメントに改めて敬服し、歌舞伎評も劇場の雰囲気を味わわせてもらえて、とても楽しく有り難いブログです。此方様の表現は的確で素晴らしく、いちいち頷くばかりです。


最近は『三人吉三を見るまでは』と読むのを我慢してましたが、今日ようやく観劇したので拝読しました。
コクーンは何度も通ったけど、歌舞伎では初めて。いやはやどえらい作品を観たなぁ…といささか放心状態。雪にまみれた頭を降っても、とても文章を作れません。

「どんなんやった?」と尋ねられたら「此方様のブログを読んで」と言う事にします。


今後も読ませて頂きますので、よろしくお願い申し上げます。

投稿: 堀河初音 | 2014年6月26日 (木) 20時38分

堀河初音様
コメントありがとうございました。
自分の備忘録としてつけているのですが、このように言っていただくと やっぱりうれしいです。
上海バンスキングや、フラッパーということは、オンシアター自由劇場を愛されている方でしょうか。私はコクーンで2回目の再演くらいからみはじめ、とりこになりました。
こちらこそ、よろしくお願い致します。

投稿: マイチィ | 2014年6月28日 (土) 22時38分

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