『てのひらの闇2』
『てのひらの闇』につづき、藤原伊織『てのひらの闇2』(文春文庫)を読んだ。
前作で飲料会社を離れたが、元同僚で親友の柿島の死 しかも集団暴行を受け殺されたことで、また動き出す。柿島の死に納得がいかず、独自に詳細を調べるうちに事件んの真相に近づいていく。また、卑怯で強大な力を持つヤツらがあらわれる。それと同時に心から信頼できる人間とも出会う。その人間達の個性的で格好のいいこと。きちんと仕事をし、きちんと楽しむ。中途半端なことをしないのがとにかく格好よく感じるのは、それが自分に欠けているいるところだからである。
主人公 堀江は、強く、仕事ができ、冷静だけど、あつく、酒を飲むとすぐに記憶を無くす。ダメが同居していて憎たらしいほどいい男して描かれる。あと、この本で現れた大会社の創業社長の男っぷりにもホレボレした。女子もいい。
亡くなった柿沼の人間としてのすばらしさは前作でよくわかっていた。しかも見た目もよさそうだ。2で出てきた細君の華奢で芯の強い女性像の美しさが、事件に本質に迫るにつれ物悲しくなってくる。事件もきちんとしているし、人間の描き方もすばらしい。
著者最後の長篇となってしまったそうだ。あぁ。悲しむより、読むことができたことを嬉しく思おうと思った。
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