« 『まぐだら屋のマリア』 | トップページ | 『さいはての彼女』 »

2014年7月 3日 (木)

『私は好奇心の強いゴッドファーザー』

マハを読んだら、宗典が読みたくなった。原田宗典『私は好奇心の強いゴッドファーザー』 (講談社文庫)を読む。エッセイでなくて、小説が読みたいのだけどねと思いつつ読む。すみません、いいエッセイでした。
宗典が、赤ん坊から少年・青年父親へと成長する間、いつも傍らに映画があった。マハの小説『キネマの神様』の父親がここにいるとうれしい驚きだった。もちろんあのままの男ではないけれど。この兄弟が、父から映画からもらった素晴らしいものが、キラキラと描いてあった。
スパイを目指したり、8禁作品上映館への潜入を心みたり。映画が教科書となり人生の偉大なる失敗は、気分がいい。ここまで思い込みのめり込みつきすすめるのは若さの特権でもある。あんなに真面目に映画がみれるであろうか。あんなに一本の映画が心にしみるであろうか。うらやましい程だ。いつまでも大人になれていない父親の様子も目に浮かぶ。自分が親となり、子供をつれて映画をみたり映画の話をしたりする。そこからあふれるちょっとこそばゆい幸福がいい。笑ったりホロっとしたりして楽しんだ。
しょうがない人   宗典。帰りをまつ。

|

« 『まぐだら屋のマリア』 | トップページ | 『さいはての彼女』 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『私は好奇心の強いゴッドファーザー』:

« 『まぐだら屋のマリア』 | トップページ | 『さいはての彼女』 »