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2014年7月 5日 (土)

七月大歌舞伎 昼の部

歌舞伎座へ。七月大歌舞伎の初日です。昼の部を鑑賞。到着すると、報道陣がどっさり。厳しい目つきのSPも沢山いて、なにやらモノモノしい。どんな要人が鑑賞に現れるのであろうかとおさると想像。トムクルーズか、はたまた号泣県議員か。正解は首相ご夫妻とケネディ駐日大使ご夫妻でした。
まずは、正札附根元草摺から。力自慢の2人が鎧の草摺を引き合うのだが、どう英訳されているのであろうかと考えた。蘇我の五郎と朝比奈の妹舞鶴という仇討にからむ設定はあるけれど、20分間の舞踏をそれでずっと押し通すというこの歌舞伎っぽさ。改めて独特の文化だなぁと考えた。
次に夏祭浪花鑑。お鯛茶屋から団七内屋根上までの通し狂言。事件の発端からなので分かりやすい。門之助さんの磯之丞様のボンボンぶりが見事。親がくると聞けば 怒られない様とにかくやりすごそうとしたり、安心すると意見をされている最中にも恋仲の傾城に酌をさせる。こんな人でも、藩の家臣のご子息であれば 命がけで守らなくっちゃならないのだなぁ。琴浦の天才右近ちゃん、きれいでした。住吉鳥居前。左團次さんの三婦は、俠客の大きさがあっていい。吉弥さんのお梶と登場。場がしまる。いい雰囲気の中にむさくるしい団七が出牢される。そして床でさっぱりし、さっぱりしたぐらいでそんなに見栄えがよくなっていいのだろうかという程、いい男になって登場する。いい場面です。のれんをかきわけ登場する様は惚れ惚れします。海老団七は、見栄えがいい。
三婦内。お辰の玉三郎さん登場。きっぷのいい役は珍しい。うちの人が惚れているのここ(顔)じゃない、ここ(心)だよという名文句。あまり溜めずにさっと言った。そこも玉三郎のお辰らしくてよかった。顔に色気があるから磯之丞様を預けられないと言われ、顔に火傷の後をつける。なりふりかまわず焼きゴテを手にするきっぷの良さや、多少自分を奮い立たせて、女をあげるところが、ジワジワと気持が伝わる。一連の流れが手順になってしまうか、このようにジワジワくるか。ちがうものだなぁ。よかった。 三婦が数珠を切り、一暴れをしに出かける。そんな亭主を見送る右之助さんのおつぎは、本当に亭主に惚れている可愛らしさがあった。 右之助さんはおじさんではなくおばさんなのかもと思うほど、いい。 琴浦さんが連れ出されたことも知らず、意気揚々と三婦・九郎兵衛・徳兵衛の3人がもどってくる。ここは、何度みてもかっこういい。拵えのいいこと。この場面でしかみれないなんてもったいない。色違いの格子の着物の九郎兵衛と徳兵衛。それに龍の着流しの三婦。絵になる。胸のはだけ方といい、歩き方といい様になっている。あんな浴衣を御揃いで着たいものねとおさると言い合う。 義平次に連れ出されたと知り、駕籠を追う九郎兵衛。花道七三でバっと立ち止まり、先を見据える団七。すこぶる決まった。超絶に格好いい。この場を正面からとらえた写真がポスターになっているが、私の席から横向きにみているこの形が一番いいのではないであろうか。劇場中で一番幸せとうぬもれつつ観る。仮に、仮に海老蔵さんが大キライな人がいたとしても、この場をこの席でみたならば、キャッと思ってしまうに違いない。あのような決めの形を七三でとることを思いつくなんてすごい。急いだ折りに無用な体系だけれども、美しい。造形美にあふれた演目でした。海老蔵さんによく似合っている。
中車さんが義平次で登場。駕籠の先に立ち花道を出てくる。いじましく汚らしい。なんだか知っている感じ。大河ドラマの岩崎弥太郎でした。姑息さについ笑っちゃった。でもいい。こういうのもありです。鬼気迫る怖さがあった。声の出し方がやっぱり歌舞伎の手法とちょっと違うところがある。でも無理せず声がしっかり出ていた。夕刊で玉三郎さんから「歌舞伎を忘れて、自由に」とアドバイスをうけたと読んだ。悩み続け、努力し続け、今回は一度それを置き ふっきったように演じていた。その思い切りは斬新でよかったし、団七をよく引き立てていてバランスがよかった。人をひきつける2人でした。

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