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2015年1月18日 (日)

新春浅草歌舞伎

浅草へ繰り出し、新春浅草歌舞伎を昼夜鑑賞。ものすごく若返ったので、そこそこぐらうであろうなと思っていたら(失礼)、新鮮で かつ結構よかった。驚いた。まだまだ伸びていかなくては困っちゃうけど、伸びしろがあることを感じるし、一番いいのは今伝えようとしていることがきちんとできていたということ。変なクセがなく素直。演目をちゃんと味わえました。
絶品だったのは、種之助くんの猩々。すばらしい。人でない存在でした。気品もある。足運びがなめらかで美しく、重心がぶれない。木目込み人形のようにちょこんとした可愛らしさもある。酒を飲み、笑う加減までいい。人の機嫌のよさとは違う感覚のそれは素晴らしかった。手足の隅々まで美しく動くが、あどけない。魅入りました。何よりもあの足さばきがすばらしかった。
あと、一番の難関と思われた松也くんの早野勘平にも驚いた。なんだか現代的になっちゃっているのですが、勘平の持つ若さとか思い込みとかがとても素直に伝わってきた。飽きさせなかったのが何よりすごいと思う。勘平は、するべき手順が沢山あって、それを一つづつこなしている過程がよくわかる。丁寧に丁寧に勘平を演じる。俺の勘平をみせるということでなく、おかるを想い おかるの親に詫びてもすまない事だけど絶望し、同邦には分かって欲しいと必死にすがる。 みていて、うまいなぁとうなるような勘平でもないし、勘平の肝をみせるのでもないけれど、あの勘平はみていて飽きなかった。 一瞬も気をぬかず、強烈に生きている様は、ベテランにないすごみで新鮮だった。
第一部のお年玉年始ご挨拶は、巳之助くんと種之助くん。トークの腕のある巳之助くんと、おっとりとしてトーク上手の相方にも動じない種之助くんの組み合わせが気に入りました。演目の紹介が説明にならず、意外と(失礼)うまかった。春調娘七種で 七草を恵方を向き刻む振りがあるとか、特に舞踏をみるときに、より興味をもつことができました。独楽売が歌舞伎本公演でかかるのは60年ぶりで、坂東流の踊りなので大切にしていることも伝わりました。
第二部のお年玉年始ご挨拶は、隼人くんと児太郎くん。ガッチガッチで、まったく余裕のないまま終了。達者な子が入っていない組み合わせも、浅草らしくってなんだかいい。今に器用にお話するようになっちゃうのでしょうからね。それに若い御仁が見ても、お役を務めさせていただくとか 普段耳なれない言葉使いが新鮮でしょうし。
最初は、「春調娘七種」。そういえば昔浅草でみた松也くんの壽蘇我対面の五郎はものすごかったなぁ。今回は、隼人くんの十郎が品があり優雅でした。児太郎くんの静御前は、所作がきれい。解説のおかげで内容を考えてみることができ、華やかでした。
次に「一條大蔵譚」奥殿だけだと、つくり阿呆が しっかりとした正体をあらわした所からになっちゃうなぁ。米吉くんの常盤御前は、おっとりしていて、デンと構えていて姫でした。かわいかった。何やら気を惹く人です。鬼次郎、お京夫妻には松也くんと児太郎くん。松也くんは、五郎より似合っていました。児太郎くんは盤石。歌昇くんが一條大蔵長成。若いんだけど、大人感がある不思議な兄弟。若いのに、古臭い感が(じゃんくて古風さが)うまい。阿呆顔は、立派な阿呆にみえました。きちんと歌舞伎でした。
最後に「独楽売」。米吉くん芸者が、かわいい。茶屋女房の芝のぶさんは綺麗。雛妓の鶴松くんと梅丸くんと、新春らしい華やかさ。そこに 独楽売登場。巳之助くんと種之助くん。清らかな雰囲気があり、明るい送り出しになるいい演目でした。
浅草の街をひやかし、おせんべや足袋などを買っているうちに第二部になりました。
「仮名手本忠臣蔵 五・六段目」花形歌舞伎でかかると、実際にはこのくらいの青年達の話なのだなぁと思っていましたが、もっと若いこの浅草世代なのか・・・と思う。芝喜松さんの母おかやがよかった。芝居にはこういう人が必要です。歌女之丞さんの一文字屋お才という2人の組み合わせで、場が落ち着いてみやすくなる。蝶十郎さんの源六も相性がよかった。 おかるは、児太郎くん。おさえた演技はよく似合っていました。やるなぁ。
最後に、「猩々 ・ 俄獅子」 猩々にほれぼれ。種之助くんに俄然注目となりました。酒売りの隼人くんも品がありました。前よりうまくなったなぁ。 最後に華やかな俄獅子。やっぱり米吉くんの芸者がかわいい。華やかで明るくて、こちらもいい送り出しになりました。
案外楽しかったです。やるなぁ、若者。

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