2014年2月 9日 (日)

能狂言公演

雪の中再び外出。昨日の公演も今日の公演も去年取ったのだもん。調べてみたら10月にとってました。今日は逗子へ。京急で1本なので楽々です。
逗子文化プラザなぎさホールでの公演にいってきました。「能狂言公演」といういかめしいタイトルでしたが、完売です。新しい建物で、図書館も入っています。利用している人が多く、地元の人がきたくなるようないい施設。こういうところが近くにあるといいのになぁ。
公演は仕舞「西行桜」、狂言「隠狸」、能「石橋」。仕舞の地謡がひっそりめでした。これは西行桜だからなのでしょうか。静かな舞、銕之丞さん。石橋は鮮やかでした。こちらの地謡は力強かった。シテの柴田稔さんは背が高いからなのか、若い獅子のような気がしました。文殊菩薩の使いであるという獅子はどういう年ごろなのでしょう。間は、仙人。柴垣の謡をうたいながら登場。なぜ芝垣なのでしょう。配布された解説には、菩薩が寂昭法師し獅子の舞楽を見せると聞きつけ見物しようとやってきたとありました。勉強不足ででれもこれも答えがわかりません。わからないけど興味深く面白かった。
一番のお目当ては隠狸。はぁーほぉーと関心しきり。全身でしっかりとみてきました。絶妙の間合い。無駄なく意味のある動き。どうなっているのでしょう。すばらしいなぁ。

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2012年4月 9日 (月)

花形歌舞伎 忠臣蔵・昼の部

昨日、演舞場で昼の部をみてきました。
昔、ここで昼夜通しでみたなぁとあれこれ思い出す。あの時は、菊五郎さんの塩冶判官に、團さまの由良之助でした。四段目の判官切腹の場に由良之助が駆けつけた時のこととかとても印象深く覚えています。四月花形歌舞伎は、菊之郎さんの塩冶判官に染五郎さんの由良之助。高師直は松緑さん。若い花形役者のみなさんは、いつの間にか このようなたお役が、違和感ないどころか じっくりみせてくれるようになりました。実際はこの位の年頃の人の話なのだなと、しみじみと思う。
高師直は若者がやっては味がでないと思う。そんな中、松緑さんの高師直はギリギリ踏ん張っていました。 松の間刃傷の場で、判官を相手に 顔世がらみで おだてたり、鬱憤を晴らそうと ひどいことを言ったり、相手の目をみて恥ずかしげもなく気を変えるタイミングがすごかった。松緑・菊之助の緊張感は観ていて面白かった。顔世の松也くん、声がいい。顔世の立場がよくわかる。力弥の右近くんは、やはり天才だった。すごい。本に書いてあるそのものの力弥でした。完璧。若狭之助の性急で正義にあふれる感じを獅童さんがお行儀よく演じていました。亀寿さんの足利直義は品があった。一声も品があった。亀三郎さんの石堂は、情にあついいい男で、亀鶴さんの薬師寺は、本当に頭にくる悪いヤツだった。花形役者連中、立派だったなぁ。
三段目、足利館門前進物の場の鷺坂伴内は橘太郎さん。愛嬌のある人でないと、この役を面白くない。調子のよさと品のない笑い方でうまい。昔、通しでみたときは鶴蔵さんでした。そして鶴蔵さん贔屓になりました。少し台詞があやしくてドキドキしたりもしたけど。山崎権一さんとか、ああいう愛すべきおじいちゃん名優には、コロっとやられてしまいます。中間の頭は辰緑さん。テンポよくばっさりのお稽古する様が楽しい。おかしい場面ってここと道行ぐらい。ああ、両方 鷺坂伴内が登場している。
松の間刃傷の場で、判官を抑えきれない程の屈辱を与える松緑さんの高師直の勢いがよかった。 菊之助さんの判官は、切腹の場での毅然とした姿が立派だった。 力弥を呼び、「由良助は まだか」と参上を待つ。あの一言だけでどんなに由良助を信用しているかということがとつも伝わった。すごい。 (部長諸君に問う、君にはこんな時に来て欲しいと願う程こんなに信用できる人がいるのか と現代社会を憂いた程すごかった。) 「是非に及ばずこれまで」と迷うことなく切腹をする。 こういう殿だからこそ、姿がみえない襖の奥に居る家来連中のしのび泣きが胸に染みる。由良助まだかと私も思いつつ涙が出ました。 すばらしかった。
そこに息せききって由良助登場。息を殺しつつ心の中で拍手喝さいです。 駆けつけた染五郎さんの由良助は、静かで熱く 頼もしい男だった。 殿、この男におまかせくださいと観ながら胸を熱くする。 城明け渡しの場で、結局金のことが気になるだけの斧九太夫。錦吾さんの斧九太夫は、長年殿にお仕えしてきても、結局 由良助は まだかと自分を待ってくれない寂しさを垣間見せたのが効いていた。 松也くんの顔世御前の哀しさは美しく。 静かに働く力弥の右近くんの、目立ちすぎず 間違いがない完璧な力弥に目が奪われた。 城を明け渡すまじと集まる若者の熱さもよかった。 いいお芝居でした。
大序からみたので 鶴ヶ岡社頭兜改めから始まり、松の間刃傷があり、切腹があり、城明渡しとなる。この展開に、気持ちがぐっと入った。主要メンバーが替わることもないし。道行は明るくていいけれど、突然新しい人が増えた感じがして せっかくの流れが中断された。福助さん・亀治郎さんのおかる勘平ですし、鷺坂伴内は猿弥さんという安定のある配役なのに、ちょっともったいない気がした。時間配分の問題はありますが、道行は夜の部でどうでしょうと 初めて思った。
見応えのある昼の部でした。満足。

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2009年5月23日 (土)

目黒で二時

第四回の「ざゝん座」を観に、喜多六平太記念能楽堂にいって参りました。ざゝん座は、毎回ちらしや冊子の表紙に書かれた「ひとこと」が、なんとも愛らしく 楽しみにしています。一回目「はじめまして」。二回目「水道橋にて」。三回目「平日ですが」。今回の四回目は「目黒で二時」でした。菊池桃子か。今回のもスキ。
喜多六平太記念能楽堂は、なかなか機会がなくずいぶん久しぶり。ここの雰囲気もいいです。熱気がすごかった。
解説は竹山師。非常に個性的かつまじめそして丁寧。文荷(ふみにない)の衆道の説明がやけに印象に残りました!? 本日5月23日は恋文の日だそうです。
『海道下り』小舞からスタート。
『萩大名』
大名は、深田師。無風流な大名のおおらかさがいい。間合いがすばらしかった。とぼけたというより、知らなくても大名然としている空気があいました。 萩大名といえば万之介師。今日は後見。太郎冠者に言葉をつけたとき、ものすごくかっこよくかったです。スピーディで適格で。とても楽しかった。
『朝比奈』
素囃子『早舞』そして、『朝比奈』。月崎師は人がみな極楽浄土に行ってしまい地獄の飢餓に悩む閻魔。いかにも狂言らしい設定。激しい動きで朝比奈を責めるが、やりこめられてしまう。狂言らしい味わいがあってよかったです。大変そう。朝比奈の高野師、強そうでした。力自慢を語るところ、想像しやすい語り口でした。人間を押しずしにしたというくだりとか、興味深く楽しみました。後見は万作師。激しい動きの閻魔にさっと近づき、さっと直す。そばにじっと寄るだけで、強い安心感を感じます。父親のような。存在のすごさを実感しました。
『文荷』
最後に、文荷。千満(稚児)へ恋文をもっていけという主に万之介師。主人の奥さまに怒られるからイヤだという太郎冠者 竹山師に対して、女のところに持っていかすのでないからおいではないか的なことを言う。勝手な・・  恋文だから重い、持ち重みがあるなど洒落のめし、相手に押し付けあったり、竹の棒に結びつけて一緒にもったりする。たかが手紙を。 おおまじめで面白かった。能『恋重荷』の一節を謡う。この謡難しい。その上、2人で謡うのでより難しいなと思いました。主の手紙を勝手にあけて 読みだす 竹山 太郎冠者・破石 次朗冠者の盛り上がり具合が面白かった。 後見は、萬斎師。クールでした。(御髪がフサフサしていらっしゃいました。) 
今回からは、主催の深田師・高野師・月崎師・竹山師 中心という色あいが強くなってきたようです。後見パワーの大きさも強く感じました。次回も楽しみです。

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